シティバンクCEO、突然の辞任発表 黒幕は?
16日、米シティグループのCEOパンディット氏の辞任が発表された。後任はシティバンク生え抜きのバンカー、コーバット氏。また今回の辞任に伴い、側近だったジョン・ヘイブンズCOOも退任した。
パンディット氏のかじ取りによって、シティは金融危機後、450億ドルの公的資金を返済し、経営の立て直しを図ってきた。一方、任期中の株価は89%下落。株主配当の引き上げと自社株買戻しの許可を拒否されたほか、今年3月、FRBが行った健全性検査でも不合格とされ、4月には株主から、自身を含む幹部の報酬提案を拒否された。15日発表の第3四半期の決算は、スミス・バーニー売却絡みの47億ドルの評価損が響いて減益だったが、アナリストや投資家からは一定の評価を受けていた。
この発表後、シティ株は通常取引を1.6%高の37.25ドルで終えた。
Financial Timesの報道姿勢―関係者を驚かせたいきなりの辞任―
パンディット氏の16日の辞任が平和的なものだった、というシティ側の主張を紹介。同時に、いくつかの失策によって、同氏への不満が高まっていたとする内部筋の談も載せた。とはいえ決算発表翌日のいきなりの辞任発表に驚きの声もあるという。
就任時、健全化までは報酬を1ドルしとしたことで知られる同氏の、通常並の報酬案が株主に拒否された背景として、自身のヘッジファンド売却で多額の利益を得ていたことを紹介。成功報酬の設定が高すぎるとの批判も報道した。
The New York Timesの報道姿勢―危機脱出の立役者降板 勝算は不透明―
辞意を自らの決断と語るパンディット氏だが、情報筋によれば、オニール会長は一部の取締役と氏の降板を画策していたという。辞任の火種はすでに、オニール氏の会長就任時にまかれていた、と分析した。
確かに失策もあったが、同行の歴史上類を見ない危機的状況から、健全な立て直しを図ったパンディット氏の手腕を評価する声は高いと紹介。報酬案拒否時には、賛成に回った株主から驚きの声が上がったともされる。同氏の辞任を「まったくばかばかしい」と切り捨てるアナリストも。バトンを受け継ぐ生え抜きのバンカー、コーバット氏が同氏を超えられるかは不透明だとした。
The Wall Street Journalの報道姿勢―パンディット氏更迭の舞台裏―
パンディット氏の辞任を更迭と断定。その裏に、会長であるオニール氏との確執があったとした。
パンディット氏の危機後の経営は、おおむね成功しており、15日の第3四半期の業績も投資家やアナリストからは高評価を得た。
しかし、大局に立って物事を判断しようとするパンディット氏と、細かい業務に目を向けるオニール会長とのスタンスの違いから、両者の確執は深刻化。オニール会長と後任のコーバット氏にはかねてより面識があり、生え抜きのバンカーで考えの近い同氏への打診はすでに2週間前になされていたという。パンディット氏が辞任を決意したのも、オニール会長に迫られてのことだった、と内部事情通の談を報道した。