ソフトバンク、米携帯3位スプリント買収―海外紙は懐疑的―
ソフトバンクは15日、約201億ドル(約1.6兆円)で米携帯3位のスプリント・ネクステルを買収すると発表した。日米の契約数を合わせると約9600万件に拡大し、アメリカ首位のベライゾン、2位のAT&Tに迫る。なお、15日のソフトバンクの株価は5.3%下落し、2268円となった。
各紙は連日大きく扱っているが、報道姿勢には違いが見られる。FTは期待と懸念を示すバランス型の報道、NYTは「最大の賭け」と表現し注目、WSJは批判的視点から報道している。
Financial Timesの報道姿勢―日本携帯3位、世界的な携帯市場に参入―
孫社長の自信にあふれたコメントを掲載した。日本でボーダフォン買収後、V字回復を成し遂げたことを紹介。業界慣行を破る価格戦略、斬新なプロモーション戦略、そしてiPhoneを初めて発売するという商品戦略を評価した。孫社長が、アメリカのネットワーク速度の遅さを指摘し、日本の経験を生かし競争力を強化すると自信を示していることを取り上げた。
一方、ベライゾンが32%、AT&Tが30%を占める米携帯市場では、ソフトバンクの買収によりスプリントの16%のシェアは強化されないと指摘した。また、孫社長の強気の姿勢に反し、投資家は難色を示していると報じた。「この相乗効果が形になるまで数年かかる」という東京のアナリストのコメントも紹介している。
The New York Timesの報道姿勢―ソフトバンク最大の賭け―
孫社長の目的は「最大・最速のワイヤレスネットワークをアメリカで構築すること」であると紹介した。スプリントのヘッセCEOが、ソフトバンクはスプリントにお金よりもさらに多くのもの、実績を持つリーダーの専門知識の恩恵をもたらすとコメントしていることも取り上げた。
リスクとして、スプリントは次世代ネットワークLTEを展開し始めたばかりとも指摘している。またこの買収は、米企業における今年最大の外国投資と報じた。最大の賭けという表現から、注目度の高さが伺える。
The Wall Street Journalの報道姿勢―スプリント買収は、孫社長のエゴ―
スプリントは長年国内ライバルと合併すると思われていたが、多額の負債を持ち、米市場での経験のない日本からの求婚者に「身売り」したと批判的に報じた。また、孫氏の「これは私のナンバーワンになろうとする男のエゴの一部だ」というコメントを取り上げた。ヘッセ氏は新会社でCEOにとどまるだろうが、孫氏が主導権を握ることに疑問の余地はないとも指摘している。