ソフトバンク、米携帯3位スプリントの買収濃厚―海外紙も1面で報道―

ソフトバンク アメリカ携帯電話加入者数3位のスプリント・ネクステルは11日、「大規模な投資の可能性」についてソフトバンクと協議中であることを発表した。ソフトバンク広報は12日、「当社はスプリントと取引の可能性について協議中であるが、何も決まっていない」と発表した。先週ドイツテレコムと米メトロPCSが携帯電話事業を合併させることで同意したと発表したことに続く業界再編の動きである。

Financial Timesの報道姿勢―アグレッシブな孫社長の次の手は―
 ソフトバンクの孫社長の実績や今後について報じた。彼の講演内容から、固定ブロードバンドに投資し年間10億ドルの損失に4年間耐えた「リスキーな賭け」の概要や、2006年にボーダフォン日本法人を15.1億ドル(約1.75兆円)で買収した経緯にふれた。「彼はアグレッシブでなければ何者でもない。彼はこの業界の合併で重要な役割を果たそうとしている」との関係者のコメントも紹介している。スプリントはアメリカで同業他社に遅れを取っているが、この買収が競争力強化につながるとも分析した。

The New York Timesの報道姿勢―期待と不安―
 スプリントの財務体質が改善し、ソフトバンクから次世代ネットワーク開発のための追加リソースが得られると分析した。さらにアナリストのコメントとして、モバイル決済や、顧客の個人データ分析による地図機能の向上や購入商品のレコメンドなど、顧客への新しいサービスの可能性に触れた。
 なお、スプリントの株価は11日、14%以上上昇したが、ソフトバンクの株価は12日東京午前の取引で15%下落したと指摘した。ソフトバンクにとっては相乗効果がないと批判するアナリストもいると報じた。

The Wall Street Journalの報道姿勢―スプリントに日本から救世主―
 この取引には、スプリント株主の説得や、スプリントと複雑な関係をもつクリアワイヤー社との関係など、多くのハードルがあると指摘した。しかし成立すれば、AT&Tとベライゾンの2社がほぼ独占している米携帯市場が変革すると報じた。「当社はスプリントの約2倍の規模のライバルと競争するため、取引を結ぶ必要がある」とのダン・ヘッセCEOの言葉や、「これは米ワイヤレス業界で他の資産を購入するためのきっかけだ」との日本の関係者のコメントも紹介した。
 WSJは総じて前向きに評価している。

Text by NewSphere 編集部