世界の経済 ―世界の経済大国の今とこれから―
5日、アメリカの失業率が7.8%に改善したことが発表された。これは2009年1月以来の低水準だ。非農業部門雇用者数は前月比11.4万人増えた。アメリカ、EU、中国、そして日本の経済に暗いニュースが続く中、明るい兆しといえる。
こうした状況下、海外紙はアメリカ経済の明るい兆しとアジア経済の不安要素を報じている。
Financial Timesの報道姿勢―アメリカ・住宅ローン借り換えで立て直しは順調か―
現在、アメリカでは、前年比で20%も多くの人が住宅ローンの借り換えを申し出ている。これはアメリカ連邦政府が、2003年より実行しているQE(量的緩和政策)が一つの要因だ。現在はQE3という政策の下で、連邦政府が住宅抵当保証券の買い手となることで、市場の資金量を増加させている。その影響で金利が下がり、多くの人が借り換えの申し込みをしている。申し込みの増加は、経済の立て直しに大きな役割を果たす。事実、再建の指標となる繰り上げ返済の割合も2005年以来最高の値を記録し、経済回復に順調な兆しを見せた。
また雇用の拡大の問題でも、エコノミストは115,000人の増加を予測した。これはオバマ氏にとって、選挙の際に有利に働く良い結果となった。さらに、私企業での雇用も、162,000人の増加が見込まれている。しかし、これらの数字は、あくまで予測の域を出ず、今後どうなるかはわからない。連邦政府は、現在の失業率8.2%が減少するまで、抵当権の買い入れを続ける方針だ。
The Wall Street Journalの報道姿勢―アジア・経済の停滞を危惧―
アジア開発銀行(ADB)は、将来のアジアの成長について改めて分析し、中国・インドの成長率予想を下方修正した。ADBは、アジアの経済大国の成長減や、アジアに流れていたお金が逆流する可能性を指摘した。背景としては、ヨーロッパでの借金問題や、アメリカでの引き締め政策の失敗などの流れを受けて、投資家たちの信頼が失われる可能性がある。この問題に対しADBは、「資金の流れをコントロールするために、政策を強化する必要がある」と主張した。具体的には、輸出依存からの脱却や生産性の向上などを例に挙げた。
またアジア諸国の経済状況も報じた。ADBのエコノミストは、日中の領有権問題については一時的な影響しかないと分析した。また南アジアでは、インフレが原因で政府の援助の効果が出ていないと報じた。中央アジアでも、石油価格の安定化や需要の減少などで、経済は伸び悩んでいる。ミャンマーの発展には期待をかけているものの、環境整備に時間がかかるため早急な経済発展は望めないとした。