ドラギ総裁、ユーロ危機の解決に強気な発言
4日、欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は、先月発表した国債購入プログラム(OMT)実施の用意ができていることを強調した。これは、スペインをはじめ、国債利回りが上昇し、中小企業の資金調達コスト高騰などに苦しむ債務国救済のためのプログラムだ。同総裁は、OMTプログラムをユーロ圏安定のため完全に効果的な施策であるとしている。利用国は国際的監視のもと経済・財政構造改革を求められる。どう総裁は、これは懲罰的なものではなく、利用国のメリットになると主張している。
ECBは、ユーロ危機を解決することができるのか?ドラギ総裁の発言とユーロ圏諸国の対応に着目する。
Financial Timesの報道姿勢―ドラギ総裁の強気な発言―
OMTについて、ドラギ総裁の自信に満ちた発言を紹介した。まず背景として、スペインなど南欧諸国で民間の資金調達コストが上昇し、ドイツなどでは低下していることを指摘。同総裁がスペインの改革を賞賛しつつも、依然として重要な課題に直面しているとみて、OMTの利用促進を示唆していると報じた。同総裁は、ECBの目的である「ユーロ圏全体での物価安定」のため、この状況への危機感を表明している。また、OMTに反対していたドイツ連邦銀行総裁との意見の相違については深く言及せず、4日に行われた理事会は建設的だったと語った。
The New York Timesの報道姿勢―楽観はできない―
OMTが有効に機能するのか不安とみる意見を伝えている。OMTの発表後、短期再建の利回りが下落したことは評価したが、ここ最近スペインの金利が再び上昇し始めているなどの懸念点を指摘した。背景として、スペイン政府が救済を求めるべきかどうか葛藤し、見通しが不安定なことを上げている。ドラギ総裁の姿勢も基本的に楽観的だが、OMTの実施には政府の申請が条件であることを再度強調するなど、危機感の一端があらわれている。
The Wall Street Journalの報道姿勢―政治・インフレの不安―
ドラギ総裁は、ユーロ圏諸国の支援への同意が、危機の解決に重要だと主張しているとした。ただユーロ圏諸国が、こうしたECBの関与により各国政治の相互依存が高まり、時間がかかりすぎるようになる、と政治面で不安を示していることを報じた。
また不安材料として、9月のインフレ率が上昇し、2.7%に達したことを指摘。これはECBの目標を上回っているが、同総裁は来年には2%を割るだろうと楽観視していることを伝えた。