インド、規制緩和―巨大市場の行方はー
インド政府は4日、保険・年金制度改革関連法案を閣議決定した。これによれば、外資の保険企業への出資上限が26%から49%まで上昇、未開の年金分野の開放が進む。近年の経済成長の鈍化と改革の停滞に風穴があく期待感から、インドの代表的な株価指数SENSEXとルピーは共に上昇した。
しかし、これらの法案には議会の承認が必要だ。先月明らかにされた大型の規制緩和を受け、対立野党はもちろん、党内にも慎重論が渦巻くなか、議会の紛糾は必至であり、法案の行方は不透明だ。
Financial Timesの報道姿勢―政府が進める開放路線。政財界や海外投資家の歓迎とは裏腹に、強まる国内の反発により紛糾の兆し―
ここ3週間でインド政府が見せた改革開放路線への本気の姿勢と、先行きの不透明さを紹介した。政府は、経済低迷により、国債の格付けが投資不適格レベルにまで下がることを懸念していると分析。打開策として、先月は、燃料費への補助の引き下げ、大型小売店の外国資本への開放を発表した。それに続く保険・年金分野の開放であり、政財界や外国人投資家には歓迎する声が多い。しかし、庶民の生活を圧迫しかねないこれらの施策には反発も強く、シン政権が倒れる可能性もある。
International Herald Tribuneの報道姿勢―インド政権、莫大な成長の可能性を秘める保険・年金部門の開放に向かうも、反対勢力の反発も激化―
先月、小売業と航空産業への外国資本の増加を認め、燃料補助を削減することを打ち出したのに続く、改革開放の強化と分析した。さらに、インドの保険・年金業はいまだ低水準にあり、莫大な成長の可能性を秘めていると紹介した。しかし、先月の改革によって、連立から脱退した党がある上に、議会内にも反対論や慎重論がある、と報道した。
The Wall Street Journalの報道姿勢―政府は改革開放に本腰。先行き不透明ながら巨大市場への海外の関心は高い―
インド政府の改革開放への本気の取り組みを紹介しつつ、国内の反発によって先行きは不透明とした。小売業・航空業・放送業の外国資本増加を許可したのに続く今回の閣議決定は、政府の決意と覚悟を表すもので、海外の期待感は強い。チタムバラム財務相も、成長するためにほかに選択肢はないと決意を表明。一方、議会内外の反発は依然として強いとした。2004年にも、開放を目指しながら国内の反発によって加速できなかった過去もある。目まぐるしい規制の変化によって、業界が伸び悩んでいると指摘した。このように先行きは不透明だが、インドの保険・年金業界は黎明期にあり、莫大な人口の大多数がまだ未加入だ。この魅力に、海外投資家は熱い視線を注いでいる、と報道した。