スペイン緊縮策発表―海外各紙は評価するも救済は免れないとの見方―
27日、スペインは2013年度の予算案と経済構造改革案を発表した。予算案では増税と歳出削減を掲げ、GDP比財政赤字を4.5%に減らすことを目標にしている。歳出は前年比7.3%減で、公的部門の支出増を3年間凍結する方針だ。付加価値税(編注:消費税に近い)の増額効果や新税導入により歳入増を見込む。ただし、GDP成長率を押し下げる見通しであり、国民にとっては厳しい内容となった。
経済構造改革案では、労働市場、エネルギー・通信分野、公的サービス分野などでの改革を進める方針を掲げた。
これを受け、欧州委員会のレーン副委員長は、スペインの改革案を評価する声明を発表した。
Financial Timesの報道姿勢―基本的には評価、しかし楽観はできない―
今回の決定は、スペイン・EU双方にメリットがあると分析した。今以上の救済を求められるのではというEUの不安を払拭し、スペインは改革姿勢を示すことで、救済条件の厳格化を留めることが期待できるためだと報じた。
しかし、これはスペインが救済を必要としない保証にはならないと指摘した。ドイツらはなお、救済の条件は法的義務を課し監視することだと主張しており、救済は免れないとの欧州委員会幹部のコメントを取り上げた。さらにアナリストは、ギリシャのような悪循環を懸念している。国債金利がまた上昇すれば、こうした努力の効果を弱くし、結局ラホイ首相に救済要請への圧力を強めることになるだろうと分析した。
International Herald Tribuneの報道姿勢―地方州政府の反発に着目―
与党が過半数のため、予算案と改革案は議会通過する見込みだと報じた。しかし高い失業率と不況に対する抗議デモは続き、これによって収まる気配はないと指摘した。
さらに、スペインの中心部でもあるカタルーニャ州の独立問題についても懸念している。マス州首相は議会選挙を11月に前倒すことにし、スペインから脱退するか決める権利を州民はもつ、と強硬な姿勢を示している。先日、カスティーリャ・ラ・マンチャ州が中央政府に支援を要請したことで、地方政府救済に必要な資金は約160億ユーロに達した。地方政府の債務削減努力は進まず、厳しい状況を示唆している。
The Wall Street Journal―発表の影響を分析―
この発表の影響でユーロは若干上昇し、スペイン長期国債利回りも若干低下するなど、市場は好意的に受け入れている事を報じた。救済要請の条件をめぐる交渉の時間確保のためとの専門家の見方を取り上げている。欧州委員会も基本的に評価しているが、年金を1%あげるなど詰め切れていない部分もあることを指摘した。
<参考リンク>
スペインが緊縮案を閣議決定したが、本当に大丈夫なの?
(mkubo1)