また大規模デモ―ギリシャの行方は―

 26日、ギリシャの首都アテネで、3.5万~5万人規模のデモが行われた。さらに2大労働組合の呼びかけにより、24時間のゼネストも実施された。6月の新政権発足以後初めてのものだ。背景には、ギリシャ政府が取りまとめ中の、115億ユーロ(約1.2兆円)にのぼる緊縮策に対する反発がある。緊縮策は、債務危機に陥っているギリシャへの1730億ユーロ(約17.3兆円)の資金援助の代替条件としてEU、IMF、欧州中央銀行(ECB)等が要求しているものである。公務員の減給、年金・社会福祉費の縮小など、政府支出の削減を求めている。なお、現在は、EU・IMF・ECBによる調査団がギリシャの債務状況を調査している。この調査と10月に行われる欧州圏財務相会議によって、追加の財政支援を実行するかが決まる。
 
Financial Timesの報道姿勢―デモはこれからも続く事を示唆―
 まず、ゼネストとデモの影響で、交通機関をはじめ国営の機関がほとんど停止した事を取り上げた。また、労組が、来月国会で新たな財政緊縮策が承認された場合に次なる行動を起こす予定がある事を示唆していると報じた。今回は反対運動の始まりにすぎず、政府にプレッシャーをかけ続けるという決意を語った労組員の声を取り上げ、デモの再発を示唆した。

International Herald Tribuneの報道姿勢―国民の反発と現実的な緊縮策の必要性―
 デモについて、一部の参加者から火炎瓶が投げ込まれて加熱したものの、一時間程度で収まったと報じた。「メルケルの豚」といったドイツを罵る声に加え、緊縮策が実行されれば家族を養っていけない、というデモ参加者の声も取り上げている。
 その一方で、先に述べたトロイカ調査団がまとめている報告書の重要性に触れ、サマラス氏率いる連立政党が緊縮策を実行する事によって、ギリシャ救済が可能になると指摘した。

The Wall Street Journalの報道姿勢―ギリシャの疲弊を示唆―
 今回の抗議運動は近年のギリシャにしては大きいが、政治に重大な影響を与えるほどの出来事ではないと分析した。ギリシャ国民の疲弊と、緊縮策は不可避と考えている姿勢が表れていると指摘する政治専門家の声を取り上げた。予断を許さない状況とする一方、ギリシャ国民が改革を受け入れる準備ができつつあるという前向きな見方を示唆した。

Text by NewSphere 編集部