米ヤフー、アリババ株売却 36億ドル株主へ還元
18日、米ヤフーは、中国の電子商取引大手アリババ・グループの株式について、保有の半分をアリババに売却すると明らかにした。これは発行済株の20%にあたり、ヤフーは総額76億ドル(約6000億円)を手にする。内訳は、現金63億ドル、優先株8億ドル、そして現存技術の知的財産権使用料5.5億ドルである。2005年にヤフーがアリババの株を40パーセント取得し提携したのを皮切りに取引が行われてきたが、最大規模のものとなる。なお、ヤフーが手にする税引き後の純利益46億ドル(約3680億円)の使い道については変遷が見られる。グーグルの元幹部メリッサ・メイヤーが5月にヤフーのCEO(最高責任者)に任命された後、当初予定されていた実質的な株主還元は見直されていた。しかし現在は、利益のうち約30億ドルを株主に還元すると発表されている。メイヤー氏は「未来の成長のために十分な資金を残しつつ、株主にも十分な還元ができることを嬉しく思う」と述べている。今後、ヤフーは保有株の半分をアリババの新規株式公開(IPO)時に売却する予定だ。
<各紙の報道>
FTは、主にアリババに焦点を当ててこの取引を報じた。
アリババのジャック・マーCEOが「メイヤーCEOとともに働けることを嬉しく思い、これからの2社の関係は良好に保っていきたい。」とコメントしていることを紹介した。アリババはヤフーに支払う資金を、海外金融機関や中国国家開発銀行から主に調達したと報じている。
IHTは、ヤフー、アリババ双方の立場からこの取引を分析した。
ヤフーが今後も保有株を売却する予定であることや、売却資金を使って方向転換をもたらすことなど、未来の方針を主に報じた。メイヤーCEO自身、相次ぐ幹部の交代などで混乱するヤフーに明確な道標を示す努力をすると発言したことにふれた。ジャック・マーCEOは、これまでのヤフーの支援に感謝するとともに、互いにとって新たな時代の幕開けになることを期待していると発言していることも報じた。
WSJは、今回の取引を株式市場全体の中で分析した。
ヤフーは、近年グーグルやフェイスブックなどライバルとの争いに苦しめられており、株式価格が低迷していたと指摘した。以前から、アリババ株を売りに出し株主に還元すべきとの声があったことにもふれている。アリババ株売却後の株主への還元を発表した影響もあり、ヤフー株は前日比1.4パーセント上昇し15.19ドルになったと報じた。