独憲法裁判所、欧州救済基金を条件付き承認

12日、ドイツ憲法裁判所は、一定の条件下で欧州安定メカニズム(ESM)と欧州財政協定の批准を認める判断を下した。ユーロ圏債務危機対策の柱であるESM発足への期待が高まり、ユーログループのユンケル議長は、10月8日に初回理事会を開く方針だ。ただし裁判所は、負担金の上限を1900億ユーロ(約19兆円)とし、将来的にESMへの負担金を増額する必要が生じた場合には議会の承認を得る必要があるとした。また、議会はESMの活動について意見を述べる権利があると指摘した。この決定を受け、金融市場ではユーロが対ドルで4カ月ぶりに上昇。世界の株式市場も値を上げた。なお、先日ドラギ総裁が発表した欧州中央銀行(ECB)の債券買い入れについては、憲法裁が今後審査することになった。

<各紙の報道>

FTは、今回の判決に関する関係者の反応等について報じた。まずメルケル独首相は、「ドイツ、そして欧州にとって良い日」と述べたことを紹介した。ショイブレ独財務相は早急に批准手続きを済ませる意向で、数週間以内にもESMは稼動できると見方を示したと報じた。議員の多くも、民主主義が尊重されたという文脈で歓迎の意を表明しているとした。一方反対派は、ESMの効果という観点や自国の財政権が損なわれるという立場から批判していると報じた。

IHTは、判決はメルケル首相にとって大きな勝利だと報じたが、ECBの国債購入策と合わせて、反対派のコメントも多く掲載している。具体的には、ユーロ安やインフレ、そして各国議会の財政権限が弱くなることへの懸念を紹介した。一方、スペインとイタリアは独裁判所の決定を歓迎する意向を表明し、モンティ伊首相は「素晴らしいニュース」と述べたと報じた。 

SJは、ECBの国債購入策と合わせて全体像を報じた。最後に今後の見通しについてもふれており、次の焦点はスペインがESM/ECBへの援助を要請するのかどうかだと分析した。なお、一連の事態からスペインの国債利回りは下がっている。

Text by NewSphere 編集部