習近平国家副主席、各国高官との会談欠席

中国の次期最高指導者に内定している習近平国家副主席が、1週間以上にわたり公の場に姿を見せていない。副主席は先週から、クリントン米国務長官や、シンガポール、デンマークの首相などとの会談をキャンセルしている。米関係者は背中のケガが原因と述べたが、中国政府は詳細な説明をしていない。中国版ツイッターと言われるミニブログ「新浪微博」では、習近平氏の名前での検索はブロックされてしまう。それにもかかわらず、インターネット上では様々な憶測が広がっている。

<各紙の報道>

FTは、中国政治の不透明さに焦点を当てた。習氏の消息については、サッカーや水泳でのケガなど様々な噂が飛び交っていると報じた。無根拠な噂を打ち消すため、国営メディアはスピーチを1面記事で紹介したが、これは最後に姿を表した9月1日のものだと指摘している。また一党独裁下における権力移譲メカニズムの不透明さを象徴するような事態だとみている。実際、今回の共産党大会の開催日は未公開で、注目される中共政治局常務委員の人事案も定かでないと報じた。

IHTは、指導部交代に伴う混乱という文脈で報じた。背景として、薄熙来氏のスキャンダルや、胡錦濤氏の側近が降格した事件を紹介した(これには側近の子息がフェラーリ事故を起こしたことが影響しているという)。こうした現状下で習氏不在の理由を明らかにしないため、水泳やサッカーでのケガ、心筋梗塞、はては薄氏の関係者による暗殺などという噂が飛び交っていると指摘した。さらに、前回は8月に発表されていた党大会の日付もまだ不明であり、水面下でなんらかの交渉が進行しているのではと分析した。

WSJは、「中国のミステリー」という見出しで、習氏が姿を見せない理由を推理した。確信を持って事実といえることは何もないと前置きした上で、健康面の課題が確実、という専門家のコメントを紹介した。理由として、現在有力な「背中のケガ」という噂に対し、これまでのところ中国国営メディアが否定する動きをみせていないことを挙げた。過去、香港メディアが「江沢民の死去」を報じたときは、即座に写真付き否定記事を掲載したことを紹介した。通常であれば海外高官との会談には、可能な限り出席するはずだが、今は権限移譲のタイミングであり、次期指導者に必須の健康なイメージを重視した判断ではと分析した。

Text by NewSphere 編集部