グレンコア、エクストラータ買収条件引き上げ

スイスの大手商社グレンコア・インターナショナルは7日、資源大手エクストラータへの買収案を引き上げた。新たな買収案では、エクストラータ株に割り当てるグレンコア新株の数を2.8株から3.05株に変更した。買収額は370億ドル(約3兆ドル)規模となる。またグレンコアは、買収後の新CEOに、同社のグラセンベルクCEOが就任することも提案した。なお、当初案ではエクストラータのデービスCEOが就任する計画だった。買収案をめぐっては、エクストラータの第2株主であるカタール政府系ファンドが条件の引き上げを求め、交渉が行き詰っていた。またグレンコアは、買収計画をめぐる株主投票を延期した。同日の欧州株式市場において、エクストラータ株価は7.5%急伸したが、グレンコア株価は4.3%下落した。

<各紙の報道>

FTは、この買収案の決着がいまだ不透明なことを報じた。そもそもグレンコアのグラセンベルクCEOは、カタール政府系ファンドの買収条件引き上げ提案に対し、当初は条件変更の可能性を否定していたことを指摘した。今回の条件引き上げに際し、グラセンベルク氏の新CEO就任を求めているが、エクストラータのデービスCEOは、自身が6ヶ月間CEOに留まること、追加報酬や株の割り当て要求を示唆していることにふれた。なお、各社は正式なコメントを拒否していると報じた。

WSJは、合併に関する懸念と期待について報じた。まず、7ヶ月に及ぶ買収交渉は、投資家や政治家の注目を集めており、ブレア前イギリス首相がカタール政府系ファンドの反対をやわらげるのに協力したこともあったと報じた。買収合併が実現すれば、資源採掘と販売を一手に行うユニークな企業になると分析した。一方、グレンコアによるエクストラータの乗っ取りではないかという懸念の声は根強く、破談の可能性も指摘している。

Text by NewSphere 編集部