「そこまで気になる?」「退室を命じる」 授業中の「BeReal」使用に対立する学生と教員

画像はイメージ(Flicker/ Kanesue

今Z世代に大人気のSNS、「BeReal」を知っていますか?

【画像】授業中の「BeReal」をめぐる意見

InstagramやXと異なり、本当に親しい人だけとより「リアルな自分」を皆と共有しようというアプリです。

1日に1枚、内カメラと外カメラで同時にシャッターを切り、その写真がアプリにアップロードされます。

さらに、1日に1回アプリからランダムで来る通知の直後に投稿をすると、1日に投稿できる枚数が3枚に増えます。

また通知が来ると2分以内に投稿するよう求められます。

ユーザーの利用を促すこの機能ですが、教育の場において思わぬ弊害を引き起こしているようです。

BeRealを授業中に使う高校生や大学生

議論を引き起こしたのは、「授業中に『BeReal』を使うことは、周囲が気にすることなのか」という大学生の投稿。

実は今、通知に間に合わせるために授業中にも関わらずBeRealを撮影する高校生や大学生が増えているのです。

これに対し、X上では賛否両論が巻き起こっています。

例えば、賛成派の学生の意見としては、

・「シャッター音とかは全然気にならない」

・「音さえ出なければあまり文句ない」

・「アクセサリー感覚で撮ってるだけだから授業中かどうかは関係ない」

などが散見されました。

それに対し、激しく反対する姿勢を見せる学生や教員もいます。

学生の立場から、授業中のBeReal撮影を批判するのは東京理科大学に通う奥村蓮(@MrRenOkumura)さん。

「授業中にBeRealを撮ったら、停学扱いくらいにしても良いと思います」という痛烈な批判ツイートが話題になりました。

奥村さんによると、在籍している東京理科大学では授業中にBeRealを撮る人はそこまで多くなく、1人か2人見かける程度だそうです。

しかし、それでも生徒たちの集中力に支障をきたしているといいます。

「BeReal独特の通知音をオンの状態にしていると,近くの人だけでなく教室全体が『授業中にBeRealかよ』という空気になり,風紀の乱れを感じます」と実際の被害状況を語りました。

この問題に対し、奥村さんは授業中にBeReal撮影をしている人を見た場合、教員単位で個別に注意する必要があるのではと提言しています。

奥村さんと同じように反対派の学生の意見としては、

・「授業中に突然パシャパシャ音が鳴って、クスクス笑ってる声聞こえてくるからその度にイライラする」

・「カメラを向けられるのがすごく不愉快」

・「突然人のカメラに写って、それが知らない人に共有されてるのを想像すると怖くなってくる」

等が挙げられました。

教員側から見たBeRealの問題点

では、教員側の意見はどうでしょうか。

もちろん、自分の授業中に関係の無いことをされたら不愉快な気持ちになるでしょう。

奥村さんが言うように、周りの学生の迷惑にもなります。

しかしBeRealの特質上、問題はそれだけではないようです。

明治大学で教員を務める横田明美教授は自身のXアカウント(@kfpause)にて、著作権や個人情報保護等、法律の観点から授業中BeReal撮影の問題を指摘しました。

横田教授はまず、「授業中に写真を撮るのは板書のメモとしては許容されると思いますが、講義に関係のないSNS投稿(しかも、リアルタイムであることを強要されるもの)に勤しんでる学生が講義室内にいることについては私は懐疑的ですし、他の学生のために、見かけたら退去を命じます。

別に講義中にSNSを見ること自体は咎めませんが、『Bereal』はリアルタイムでリアルであることを強要する側面があるので、他の学生への迷惑が…と思います。その点で区別しています」と投稿。

さらに他ユーザーとのやり取りや一連の投稿の中で問題を深堀しました。

まず、BeRealに映り込む大学講義の著作権の問題があるといいます。

講義内で使用する資料は製作者である教員の著作物であるため、それをBeRealにて他者に配信する行為で「激怒する教員はかなりいると思う」とコメント。

さらに、SNS投稿に他学生及び他学生の個人情報が映り込む問題について言及する投稿に対し、「個人情報保護とか著作権とかは研究教育分野の例外がかなりあるわけでして、その場にいる人たちはその例外でそれを使うことを許容されてても、公衆送信権まで付与されているわけではない、と言うことはかなりありますよね」と議論を発展させました。

これらの理由から、横田教授は「自らの教授の自由及び講義講演の著作権の保護、また、ほかの学生の権利利益の保護」のために授業中のBeReal撮影に対しては厳しい姿勢を取っていく旨を表明しています。

このように、授業中のBeReal撮影問題は周囲が広範囲に渡って写り込むこと、そしてそれが即座に他者に共有されることから、一般的な「サボり」とは一線を画します。

したがって授業の雰囲気だけでなく、学生の個人情報や教員の著作物を守るためにも、各教育施設にて指導体制が整っていくと考えられます。

BeRealを楽しむ学生側も、他者の権利を慮りながら「今投稿をしても大丈夫か?」と一歩立ち止まって考えることが求められるでしょう。

Text by 楊文果