「鉄の肺」で70年間過ごしたポール・アレクサンダーさん逝去 弁護士資格の取得など数々の偉業

ASSOCIATED PRESS/ Smiley N. Pool

子供の頃にポリオに感染してから、70年間「鉄の肺」で過ごしたポール・アレクサンダーさん。

【動画】SNSに投稿していたポール・アレクサンダーさん

2024年3月11日に亡くなったことが分かりました。享年78歳でした。

支援金サイト「GoFundMe(ゴー・ファンド・ミー)」が発表しています。

「鉄の肺」で過ごしたポール・アレクサンダーさんが逝去

6歳の時に小児麻痺にかかったアレクサンダーさんは、首から下の全身が麻痺してしまいました。

病気のため自力での呼吸が困難になり、通称「Iron lung(鉄の肺)」と呼ばれる人工呼吸装置に入り生活を送っていたアレクサンダーさん。

1日4~6時間ほどを装置の外で過ごせるようになった頃には学業に戻り、1978年にテキサス大学で経済学学士号を取得しています。

1984年には法学学士号を取得し、弁護士試験にも合格したのでした。

また、口にペンを加えキーボードを8年間叩き続け、自伝を出版する偉業も成し遂げています。

アレクサンダーさんは、「Paul “Polio Paul” Alexander」というアカウント名でTikTokに動画も投稿していました。

日常生活の紹介や、視聴者からの質問に答える動画を投稿し人気を博していました。

アレクサンダーさんは、小児麻痺ワクチン接種の支持者でもあったため、最初に投稿した動画で「何百万もの子供たちが小児麻痺から守られていない。新たな感染症が流行する前に、守らなければならない」と発信していました。

@ironlungman Replying to @jyoung Being positive can be hard if you let your circumstances control your attitude! I like to think of all the amazing people I have in my life! #conversationswithpaul #ironlung #poliopaul #PaulAlexander #QandA ♬ 只剩下自己孤单 – 刘美丽Dicey

2023年3月にアレクサンダーさんは、「世界で最も長く鉄の肺で過ごした患者」としてギネス世界記録から認定をうけています。

悲報を受けて「GoFundMe」の彼の支援ページには、募金活動の主催者クリストファー・ウルマーさんが追悼のメッセージを残しました。

「ポール、君がいなくなると寂しくなるが、いつまでも忘れないよ。あなたの話を私たちに共有してくれてありがとう」

苦境を乗り越え、偉業を成し遂げられたアレクサンダーさんのご冥福をお祈りいたします。

Text by 本間才子