外国人がハマる日本のアニメ。日本人アニメーター「海外作品にない特徴がある」

2024年1月28日(日)、東京・新宿区にある「ARTyotsuya」にて『日本人はなぜ、ジャパンアニメをつくれるのか』と題したトークイベントが開催されました。

主催したのは、日本発祥の国際医療NGOである特定非営利活動法人ジャパンハートです。

イベントでは、ジャパンハートの最高顧問で小児外科医の吉岡秀人氏をホストに、アニメーター・キャラクターデザイナーの西位輝実さんと、衣装デザイン・監修を務める、なすかさんが登場。

「日本人らしさ」や「日本が生み出せるもの」「役立てること」にスポットを当てたトークが展開されました。

日本と海外アニメの違いは?

海外で医療活動をおこなっている小児外科医の吉岡氏は、現地の子供はもちろん、大人もジャパンアニメに夢中になっていることを肌で実感しているといいます。

特定非営利活動法人ジャパンハート最高顧問、医師の吉岡秀人さん

その理由についてゲストの2人に問うと、「シナリオの面白さが大きい」というコメントが返ってきました。

アニメーターとしてキャラクターデザインを担当している西位さんは、ジャパンアニメの特徴をこのように述べました。

なすかさん(左)とアニメーターの西位輝実さん(右)

「私は『ジョジョの奇妙な冒険』や『呪術廻戦』をはじめ、多くの作品に携わってきましたが、ジャパンアニメはとにかく登場人物が多いんです。

しかも、それぞれの個性がきちんと描き分けられていて、それがストーリーの展開を深く、面白くしています。

海外のアニメは『小さな子供が観るもの』として作られているので、登場人物も少なめでストーリーや展開もシンプル。大人までが楽しめる作品が少ないんです。この違いが大きいと思います」

アニメキャラの衣装デザインや時代考証を手がける、なすかさんも

「多彩なキャラクターが繰り広げるストーリーによるところが大きいと思います。

衣装はキャラクターの個性にも関わりますので、デザインする上ではそこにも力を入れています。

アニメキャラのコスプレを楽しむ外国人にも、キャラクターの個性を愛して衣装を着ている人も多く、そこにはシナリオの面白さがあると思います」と実感を込めて語ってくれました。

ジャパンアニメが海外で人気な理由を考察

続いて話題に上がったのは、「なぜ、ジャパンアニメは多彩なキャラクターを生み出せるのか」ということ。

次のようなコメントが聞かれました。

「例えば、穏やかな性格と凶暴な性格が同居しているなど、登場人物の性格に多面性があることが挙げられます。

最初は主人公の宿敵だったのに、途中で心を入れ替えて主人公の仲間になるなどのキャラ設定は海外アニメにはほとんどありません。

海外のアニメでは、正義の味方は最初から最後まで正義の味方ですし、悪者も一貫して悪者です」(西位さん)

「一神教が多い外国と比較すると、日本は多神教で宗教的な縛りが少ないため、キャラ設定の自由度が高い点があると思います。

また、『付喪神(つくもがみ)』や『八百万の神(やおよろずのかみ)』など、あらゆる物や場所に神が宿っているという思想もキャラクター作りに大きく影響していると思います。

海外にはそんな思想はありませんので、その意外性に惹かれている面もあるのではないでしょうか」(なすかさん)

ネット視聴がもたらした日本のアニメに対する海外の反応

ゲストの2人は、海外のジャパンアニメイベントにも多数出席してきました。

多くのファンと触れ合っていますが、以前とは異なるファンが増えてきたと感じているそう。

「ネットで手軽にジャパンアニメが視聴できるようになったことで、よりファン層が拡大したと感じます。

ジャパンアニメには、自分に自信がない、他人よりも得意なことがないといった引け目を抱いている主人公が成長して変わっていくストーリーが多いのですが、そんな主人公に共感したり、自分の姿を投影してファンになる人が増えたと思います」(西位さん)

「勝てないスポーツ選手や弱小チームが努力を重ねながら勝ち上がっていく、というストーリーも共感を得やすいようです。

私たちが幼い頃に放送されたアニメなども観ることができるようになって、そうしたストーリーに触れる機会が増えたこともあると思います」(吉岡氏)

「衣装デザインをしているからかもしれませんが、ジャパンアニメの細部までこだわる点もウケていると感じます。

ネットで手軽に観れるようになって、いろいろな視点で語れる仲間が増えたのかもしれません。

海外では細部にこだわる=3Dとなってしまうことが多く、それはもうCGであってアニメではないというか、あえて2Dで細部にこだわるところに魅力を感じるようです」

海外でジャパンアニメは依然支持され続けていますが、その一方でアニメーターを含めたクリエイターの高齢化や人手不足などの課題もあり、今後ジャパンアニメは様々に変化・進化することが求められていくだろうと締め括られました。

Text by 星名 楓