「マスク着用」「下がらない参加費」 川内優輝が考える、マラソン大会の申込者数が減った理由

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海外マラソンでは人気が落ちておらず?

それでは、海外でのマラソンの傾向はどうなっているのでしょうか。

ロンドン、ボストン、NYC(ニューヨーク・シティ)マラソンにおける変動を見てみます。

まずは申し込み人数です。

ロンドンマラソン:414,168人(2019年)、578,374人(2024年)

ボストンマラソン:30,234人(2019年)、30,132人(2023年)

NYCマラソン:105,184人(2018年)、128,000人(2023年)

ロンドン、ボストン、ニューヨーク・シティ・マラソンの3大会の参加申込者を見る限り、コロナ禍が終わった後も、人気は衰えていないようです。

むしろロンドンマラソンに関しては、2024年大会(2024年4月開催、2023年4月に申込受付終了)の申込人数は過去最高を記録しました。

この点についてロイターによると、大会関係者は「参加者間の独特の仲間意識は、人々が『参加したい』という並々ならぬ欲求を生み出し続けているのです」と述べているとのこと。

次に、参加費も見てみましょう。

ロンドンマラソン:39ポンド(約7000円、2019年大会。イギリス在住者)、49.95ポンド(約9100円、2023年。イギリス在住者)

ボストンマラソン:200ドル(約29,000円、2019年大会。アメリカ在住者)、205ドル(約29900円、2023年大会。アメリカ在住者)

NYCマラソン:2019年、2023年いずれも

NYRRメンバー(非営利ランニング組織)255ドル(約37,200円)、NYRRメンバー以外のアメリカ在住者295ドル(約43,000円)

こうして見ると、参加費については微妙に上がってはいますが、大きく高騰したとまでは言えないのではないでしょうか。

ロンドンマラソンは、チャリティー枠を持ち、1日のイベントで集める寄付額としては世界最大のイベントとして知られています。

一方、着ぐるみを着て走るランナーもいる自由な雰囲気の中、町中がお祭り騒ぎとなる、特別なイベントなのです。

この独特な雰囲気こそが、ロンドンマラソンが人気を保ち続けている理由なのかもしれません。

新たな傾向としては、ボストン・マラソンやNYCマラソンをはじめとするアメリカ国内での大会の中には、パンデミックの間中止していた大会を2021年に復活させると、直接参加とバーチャル参加の両方を提供するものも登場。

バーチャルマラソンとは、指定された期間内に好きな場所を走り、ランニングアプリで記録することで参加できるマラソンです。

Redditを見ると、マラソンの新しい形である、バーチャルマラソンについて否定的なコメントが多い一方で、時と場所を選ばず参加できる点などに肯定的なコメントも見られます。

Text by 千草ルシア