部屋は「元教室」 高騰する家賃に経済的余裕がない若者が語った”小学校ライフ”
2023年9月、ロンドン南部にある廃校になった小学校に住み始めて1か月が経つという24歳のアーティストm4xさん。
【写真・動画】廃校になった小学校でm4xさんの音楽や生活風景
小学校内の廊下にはかつての子供たちの作品が掲示されたまま、運動場の遊具もそのまま手つかずで残っている中で、m4xさんの部屋はかつての教室です。
廃校になった小学校で生活する若者
1つの教室を音楽活動用の部屋として、もう1つの教室をベッドルームとして使っています。
ここにはm4xさんを含む20人ほどの同世代の若者が住んでいるそうですが、ほとんどの住人はm4xさんのようなクリエイティブな活動に身を投じているユニークな若者たち。
トイレやキッチンは共同で使いつつ、それぞれが思い思いに自身のクリエイティブ活動にいそしんで、”小学校ライフ”を楽しんでいるのです。
ロンドンには、廃校となった小学校をアパートとして貸し出すプログラム「ガーディアンシップ」があります。
同プログラムは、使用されていないビルに人々が違法に移り住んでしまうことを避けるため、ロンドンの平均的な家賃よりも安い価格でこうしたビルの再利用する、というもの。
使用されていない建物で「ガーディアンシップ」で貸し出されている建物は、ロンドンじゅうで今や7,000物件にも上り、3年前の2倍にまで膨らんでいます。
近年ロンドンでは家賃が一層高くなっているため、そうした高い家賃を払えない若者にとっては、「ガーディアンシップ」による小学校は格好のアパートとなっているわけです。
特に、教室のスペースを生かして使用できる点はクリエイティブな活動をする人々に好感されています。
m4xさんの場合、家賃は700ポンド。
ロンドンの平均的な相場(エリアにもよりますが、一人部屋だと最低でも1,000ポンド、フラットシェアした場合は900ポンド)よりも少し安いレベルに留まってはいますが、彼にはここに住む大きな利点があります。
NewSphereの取材に対し、m4xさんは「ルームメイトと一緒に生活していたら音で迷惑かけちゃうから音楽なんてやってられないけど、ここは家賃が安いし、ロンドンで唯一、僕のスタジオが作れるところ!スペース(教室)もたくさんある。
他のクリエイティブな人とも出会って刺激を受けることができるかなと思って住むことを決意したのさ。僕の隣の部屋にはフォトグラファーが住んでいて、写真撮影用に教室を大改造しているよ」と話しました。
窓際に座って憩ったり、運動場の遊具で遊んだりと”小学校ライフ”を堪能しているようです。
一方で、小学校での生活ならではの問題もあると、m4xさんは語ります。
「元小学校なだけあって、トイレやシンクは膝高さの小学生サイズというところがちょっとね…。
それにシャワー、トイレ、キッチンは皆でシェアして使うから直ぐに壊れてしまう。大きな問題が起きた時はガーディアンのプログラムでここの家主になっている会社が修理してくれるけど、基本は皆で責任分担して使うことがルール」
いつの日か、m4xさんがこのクリエイティブな環境の、ユニークな小学校ライフから創造した音楽が世界中で大ヒットする日がくるかもしれませんね。
m4xさんの音楽やSNS投稿が気になった方は、こちらをご覧ください。