英郵便局「東京が一番コスパのいい旅行先」 高まるイギリス人の注目度

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 イギリスの郵便局が毎年発表する『Long Haul Holiday Report(長距離休暇レポート)』で、東京が物価の安い旅行先第1位に選ばれた。同レポートが示す東京のコスパは、他を寄せ付けないまさにぶっちぎりのトップとなっており、デフレで常態化した低価格競争と、このところの円安が影響したと見られている。

◆東京激安! 2位以下に大差
 デイリー・メール紙によれば、この調査はイギリスから遠方にある世界の30の都市とリゾート地を、英ポンド建てでもっともコスパのよい順にランク付けしている。コーヒー1杯、ラガービール1本、コーラ1本、グラスワイン1杯、カクテル1杯、チョコレートバー1本、ミネラルウォーター1.5リットル1本、日焼け止め、虫よけ、二人分の3コースディナー(グラスワイン付き)という10項目の価格を比較しており、トータルで48.90ポンド(約7,425円)の東京が、今年初めて首位に立った。

 2位以下は南アフリカのケープタウン、ケニアのモンバサ、スリランカのコロンボ、ベトナムのホイアンと続いており、10位以内にランクインしている先進国の街は、東京以外にはアメリカのオーランド(8位)しかなかった。

 2位のケープタウンのトータルコストは64.50ポンド(約9,794円)となっており、東京との差は2,000円以上も開いた。最もコスパが悪いとされた30位のリオデジャネイロは160ポンド(約2万4,300円)で、東京の3倍以上だ。数字だけ見れば、東京の安さがひときわ目立つ形となっている。

◆ビール1本110円? 価格の信ぴょう性に疑問
 東京で特にコスパが良いと評価されたのは、アルコール類と3コースディナーだが、納得いかない点もある。調査では、国産瓶ビールの価格は0.74ポンド(約112円)とあるが、これはどう見ても安すぎる。もしかして、第三のビールの価格をビールのものとして表示しているのかもしれないが、第三のビールは缶入りであり、瓶ビールの基準が謎だ。

 2人分の3コースディナーも、35.02ポンド(約5,320円)となっているが、こちらもワイン付きでこの値段は格安だ。提供される場所の定義が記されていないので何とも言えないが、調べた場所がファミリーレストランや居酒屋、食べ放題の店などであった可能性もありそうだ。

◆コスパの良さから、東京がホットな行先に
 デイリー・メール紙によれば、東京の価格は1年前に比べて23%も下がっており、2012年から60%も低下しているという。飲食に関しては、東京のレストランは中心部に集中しておりジャンルも幅広く、価格的にも最近かなりお得になっているとテレグラフ紙は指摘している。そしてその理由が、円安に加え、飲食店間の激しい競争にあるとしている。

 英郵便局のアンドリュー・ブラウン氏によれば、1万4000人を対象にしたツイッターの調査で、半数の人々が旅行の際は航空券代とホテル代にしか目を向けないことが分かったという。実際はそれ以外の費用が結構かさむと述べる同氏は、今後もポンドの不安定な動きが続くと予想されることから、ツーリストは基本的なコストが低い場所を選ぶことが大切だとアドバイスしている(英テレビ局ITV)。

 そういった意味で、コスパの良い日本はイギリスでも注目されており、英旅行会社Travelbagによれば、日本旅行の予約は1年前からほぼ23%も増加しているということだ(デイリー・メール紙)。世界でもっとも安いといわれるのは複雑な気分だが、東京の訪日外国人は、今後とも増え続けることが予想される。

Text by 山川 真智子