ホリデイを安くあげたい? フライトとホテルを予約するのにベストな時期
著:Giampaolo Viglia(ポーツマス大学 Reader in Marketing)
休日をベストな価格で過ごそうとしたことが一度でもあれば、航空会社やホテルが頻繁に価格を変更していることに気づいたことだろう。 この「ダイナミックプライシング(動的価格設定)」により、今日よりも明日のほうが価格が安くなったり高くなったりする。「ダイナミックプライシング」は収益管理方法として使用されている。我々は航空会社やホテルなどでこれらの価格設定の手法を学び、いつ予約すれば最良の価格を得られるかをさらに理解し、特定した。
ダイナミックプライシングの手法は、製品の需要が不確実で容量が固定されている場合に使用される。 利用可能な座席や部屋のほとんどを特定の締め切りまでに売却するというインセンティブ(動因)がある。これらの資産は「腐敗しやすい」、すなわち、企業が時間内に製品を販売しないと、それを利用する機会とその対価は永遠に失われてしまう。
旅行会社はダイナミックプライシングを行って1部屋または1座席あたりの収入を増やそうともしている。そのため、客は同じ商品のために全く異なる値段を払うことがよくある。例えば、ホテルルームでは60%、フライトではそれ以上の料金を上乗せしている。
◆格安航空会社
キール大学のクローディオ・ピガ教授のチームは、いくつかの調査やシミュレーションを通して、ライアンエアー(Ryanair)やイージージェット(easyJet)のような格安航空会社で見られるダイナミックプライシングの中心で、座席の在庫をどのように管理しているかを示した。
彼らは、飛行機の席が埋まっていくにつれて価格が上昇する傾向があることに気づいた。これは、予約するのに最適な時間は、ルートの人気に依存することを示唆している。 大人気のルートの座席を最適価格で購入するには早く予約しなければならない。なぜならば、まずより低い運賃の座席が予約されてシステムから消え、より高い運賃の座席だけが残るからである。
ピガ教授の研究では、50席のチケット購入をシミュレーションしている。 彼らはチケットを「一括」で購入したため、個々の価格が高くなった。 実際に、低価格帯に残っているチケットが1枚しかない場合は、同時に2枚のチケットを購入すると、両方のチケットを高値で購入することになるが、低価格のチケットは未販売のままだ。 だから購入する側は、予約をより小さなグループに分割する方が良さそうだ。 そうすれば、少なくともはじめのほうに購入する座席はより低価格になる。
唯一売り上げが予想を下回った場合に、フライト時間が近づくにつれて座席の価格が安くなる。 この場合、航空会社はよりたくさんの座席を販売しようとして安価な価格帯に移行する。 しかし、一般的に、出発日が近づくにつれて価格が上昇することが予想できる。
◆ホテル
しかし、東ピエモント大学のグラジアノ・アブレート教授や私の研究によると、ホテルに関しては、状況はまったく違うようだ。
ホテルは航空会社と同じような問題を抱えているにもかかわらず、利用可能な部屋ごとに最大の収益を得る必要があるという点で、価格の変動は少ないようである。ホテルは部屋ごとの価格と部屋の占有率とのバランスを取る必要があるが、航空会社以上にホテル市場が細分化されて、いくつかの大きなグループへと分かれており、非常に多くのホテルはみな常連客を得るために競争している。
その結果、ホテルは常に競合他社の価格と空室状況をモニタリングし、それに応じて価格を調整する。 しかし、一般的には予約はできるだけ早くした方が良いといえる。
ホテルはビジネスやレジャー、どちらの目的地にあるかによって価格も異なる場合がある。 レジャー都市では、週末の空室が最後まで残っていることはまずないが、ビジネス都市にあるホテルの価格は、立地の需要の違いにより、平日に高くなる傾向がある。
しかし、エコノミーホテル、特に個人ホテルは、こうやって在庫を管理するために必要なソフトウェアのコストが比較的高いため、頻繁にダイナミックプライシングを行わない。 その結果、価格が一貫していることが多い。
◆ビッグデータがシステムを打破できる
スカイスキャナー(Skyscanner)やトリバゴ(Trivago)といった比較サイトでは、ビッグデータ技術のおかげで、さまざまなプラットフォーム間で価格を調べることができる。
いつフライトやホテルが必要であるか、またビジネス目的であるかレジャー目的であるかに関わらず、予約を完了するのに最適なのは火曜日と日曜日である。
また、航空便のオーバーブッキングを避けるためには、フライトの1日前にチェックインした方が良い。一度座席が割り当てられ、搭乗券が発行されると、自ら申し出ない限り、予約を取り消すことはできない。
消費者にとって悲しい事実は、航空会社やホテル経営者が複雑で洗練された収益管理システムを使用して価格をつくっていることだ。そうすると実際にはシステムを打破することが難しくなる。 それでも、少なくとも最終的には楽しみにしている休暇がやってくるのだ。
This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by yoppo