今年も中国は洪水危機か 観測史上最高水位を記録、すでに避難多数
◆三峡ダムは安全性を強調
三峡ダムについて環球時報は、「三峡ダムのプロジェクトは昨年以上の洪水に対応する能力を持つと見られており、『歪み説』を流布する必要はないと監視組織は述べた」と報じている。三峡ダムについては昨年7月ごろ、巨大な堤体の中央付近で貯水の重みによる歪みが生じていることが確認された。
決壊の可能性が中国内外で報じられると、当初の設計の許容範囲内であると政府は説明し、安全性の強調と噂の打ち消しに追われた。今季について水利省関係者は、6月10日時点で145メートルというあらかじめ設定された目標水位があり、その範囲内に収まるとの見通しを発表している。
しかしながら、温暖化により水害が悪化傾向にあるとの指摘も出ている。自然科学関連のニュースを伝えるネイチャー・ワールド・ニュース誌(5月26日)は、中国の洪水期入りについて、「複数の気象機関が、地球温暖化でさらなる異常気象が加速していると警告している」と述べる。国立気象センターの副所長が4月下旬、「酷暑や洪水など、地球温暖化によって中国は異常気象に対していっそう脆弱になった」と現地報道機関に明かしているなど、年々状況がゆるやかに悪化しているとの捉え方が中国国内でも出ている。