契約キャンセルも? 難航する仏受注の豪潜水艦プロジェクト
◆計画遅延、国内製造のハードルも高く
コストだけでなく、建造計画に遅れが出ていることも問題視されている。豪シンクタンク、ローウィー研究所のサイト『インタープリター』によれば、アタック級の進捗状況は、「中間設計評価の段階」にあり、予定より9ヶ月遅れている。パンデミックの影響もあり、タイムフレームがさらにずれる可能性もある。政府は老朽化しているコリンズ級潜水艦を順次アタック級に入れ替える計画だが、遅れが3年以上になれば、潜水艦が1隻もない状況に陥る可能性もあるという。
豪オーストラリア・フィナンシャル・レビュー紙(AFR)によれば、ナーバル・グループは、作業の60%を行う予定である豪の請負業者の雇用のための計画も決定していないという。詳細は昨年に決まっているはずだったが、いまでは2022年までかかる可能性もあるという。フランスが受注したのは、おもに国内で生産するという豪側の希望が受け入れられたことが大きい。豪政府は遅れに不満を示しているが、そもそも地元に潜水艦建造のための人材や設備がないことが問題で、ナーバル・グループも苦労しているという。