なぜ「AI広告」は炎上するのか? 海外でも次々と
◆不気味の谷
グーグルの広告は同社のAI自体を宣伝するものだが、父と娘の役は人間が演じていた。一方、他のAI広告の炎上例は、広告自体をAIが生成したことで問題になっている。
なかでも注目されているのが、「不気味の谷」現象だ。人間に非常に近いが、どこか不自然なロボットやアニメーションは、何とも言えない不快感を引き起こす。
米トイザらスのAI生成広告は、この現象の典型例となった。創業者のチャールズ・ラザラス氏の子供時代をAIで復活させた60秒のブランドフィルムだったが、まさに「不気味の谷」だとの批判を招いた。クリエイターのコミュニティからも激しい批判を受けている。広告メディアのアド・エイジは、ラザラス氏の姿が1コマごとに異なって見えるなど、質も低かったと指摘する。
Toys "R" Us has released the first OpenAI SORA generated brand commercial
The use of generative AI in commercial work is here. pic.twitter.com/rfbHC3NQRD
— Allen T. (@Mr_AllenT) June 25, 2024
人物でなく、街が違和感を醸し出すこともある。映画『シビル・ウォー』のAI生成広告がこのパターンに陥った。
大災害後のアメリカの都市を描いたもので、実際の映画には登場しないシーンが含まれていたことで批判を浴びただけでなく、地理的な不整合や有名なランドマークの不自然さが「不気味の谷」現象を引き起こした。
米ハリウッド・リポーター誌は、一例として、シカゴのツインタワーであるマリーナ・タワー・ビルが、川を挟んで互いに対岸にそびえ立っていると指摘する。実際には、同じ側に並んで立っている。