なぜ「AI広告」は炎上するのか? 海外でも次々と

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◆不気味の谷
 グーグルの広告は同社のAI自体を宣伝するものだが、父と娘の役は人間が演じていた。一方、他のAI広告の炎上例は、広告自体をAIが生成したことで問題になっている。

 なかでも注目されているのが、「不気味の谷」現象だ。人間に非常に近いが、どこか不自然なロボットやアニメーションは、何とも言えない不快感を引き起こす。

 米トイザらスのAI生成広告は、この現象の典型例となった。創業者のチャールズ・ラザラス氏の子供時代をAIで復活させた60秒のブランドフィルムだったが、まさに「不気味の谷」だとの批判を招いた。クリエイターのコミュニティからも激しい批判を受けている。広告メディアのアド・エイジは、ラザラス氏の姿が1コマごとに異なって見えるなど、質も低かったと指摘する。

 人物でなく、街が違和感を醸し出すこともある。映画『シビル・ウォー』のAI生成広告がこのパターンに陥った。

 大災害後のアメリカの都市を描いたもので、実際の映画には登場しないシーンが含まれていたことで批判を浴びただけでなく、地理的な不整合や有名なランドマークの不自然さが「不気味の谷」現象を引き起こした。

 米ハリウッド・リポーター誌は、一例として、シカゴのツインタワーであるマリーナ・タワー・ビルが、川を挟んで互いに対岸にそびえ立っていると指摘する。実際には、同じ側に並んで立っている。

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Text by 青葉やまと