iPhone 16買うべきか?次を待つべきか? Apple Intelligence、A18チップ、更新レートなど考慮

Juliana Yamada / AP Photo

 米アップルは現地時間9日、新型iPhone「iPhone 16」シリーズを発表した。13日から予約を受けつける。iPhone 16は「Apple Intelligence」に対応し、カメラコントロールボタンの追加で使い勝手が向上した。新型は数々の利点を備えるが、特定の使用目的であれば購入を見送っても良い、と米メディアは勧めている。

◆Apple Intelligenceに対応、カメラもより便利に
 アップル独自のAIモデル「Apple Intelligence」への対応は、iPhone 16の大きな購入動機になるだろう。Apple Intelligenceには、現行シリーズの上位モデルも対応するが、iPhone 16シリーズでは全モデルで利用できるようになる。

 米メディアのマッシャブルは、AIによる絵文字の生成や新しくなったSiri、通知の自動要約機能、Clean Upツール(Androidの消しゴムマジックに相当)などの機能を楽しむことができると紹介している。

 ハード面では、カメラコントロールボタンの追加が見逃せない。本体側面に小さなくぼみが加わり、タッチコントロール式のボタンになっている。テックメディアのトムズ・ガイドは、「特に期待できる」新機能として取り上げている。

 タップすると、カメラアプリの起動や写真の撮影などを実行できる。さらには、ボタン上をスワイプすることで、被写体にズームインしたり、写真スタイルを切り替えたりすることも可能だ。画面上のボタンまで指を運ばずとも、カメラを構えたまま素早く微調整を加えられる。

◆新しいA18チップセットを搭載
 さらなる利点として、iPhone 16シリーズは、最新のA18シリーズのチップセットを搭載する。ゲームなどパフォーマンスにシビアな使い方をするユーザーには、乗り換えの大きな動機となるだろう。ZDネットによると、A18チップセットは、現行のA16 Bionicと比較して、CPU性能が30%向上し、GPU性能は40%向上している。

 カラーバリエーションの変更も、購入を検討する大きな理由の一つになるだろう。基本モデルのiPhone 16には新たに、ウルトラマリン、ティール、ピンクのカラーが加わった。発表イベント後のハンズオンで実物を目にしたマッシャブルの記者は、「こうした色は、実際に見ると、その名の響きの通り美しい」と述べている。

◆スムーズな画面にはならず
 ただし、期待のしすぎには注意したい。トムズ・ガイドは、iPhone 16を買うべきでない理由の一つに、60Hzのリフレッシュレートのままである点を挙げている。

 多くのスマートフォンメーカーが120Hzなど高速なリフレッシュレートのディスプレイを搭載しているなか、アップルはベースモデルに60Hzのリフレッシュレートを採用している。ゲーマーや動画視聴を重視するユーザーは満足できないことがあるかもしれない。

 期待のApple Intelligenceも、完成度の低さが指摘されている。ZDネットが「Apple Intelligenceは前途有望だが、まだ初期段階にある」と述べるように、AppleのLLM(大規模言語モデル)はまだ3億パラメータと、他社(GPT-3で1750億パラメータ)と比較して非常に低い。また、アメリカ・英語で先行公開され、日本での利用開始は来年とアナウンスされている。

 これらを踏まえ、今回のiPhone 16はスキップして、来年の「iPhone 17」シリーズや、来年初頭発売ともうわさされる手頃な値段のiPhone SE4を狙うべきだというメディアもある。

 最終的には、Apple Intelligenceの未熟さを受け入れたうえで、不完全さを含めて最新のガジェットとして楽しみたいか。この心のゆとりを持てるかが、購入の判断基準の一つになるかもしれない。

Text by 青葉やまと