米著名投資家の「テクノロジー楽観宣言」、なぜ批判を呼んだのか
◆テクノロジー至上主義的主張への批判
テクノロジーが人類の進歩に貢献してきたことについて異論はなくても、アンドリーセンの過剰な主張については批判の声が上がっている。ワイヤードの記者は、テクノロジーが人類の富と幸せの主要なドライバーであることに異論はなく、自分自身も「テクノ・オプティミスト」だと思ってきた。また、AI時代においても、リスクを認識しつつも、その有益性に可能性を見出すという賛成派だという。しかしながら、「テクノロジーを駆使した最強の種としての人類の運命の宣言」だとも捉えられるアンドリーセンのやりすぎの主張には、違和感を示している。また、この宣言は、むしろ、テクノロジーに投資することで富を得ているアンドリーセンが、自身の富と成功を正当化するための「テクノ・ビリオネア宣言」と呼んだ方が適当だと批判する。
また、テッククランチの記事でも、アンドリーセンのビリオネア的な視点からの、トリクルダウン理論(富裕者がさらに富裕になると、経済活動が活発化することで低所得の貧困者にも富が浸透し、利益が再分配されるという考え)は、間違った主張であり、アンドリーセンは貧困層、低所得者層を理解していないと批判する。
AI時代において、AI開発のリスクに対する議論が活発化し、規制の動きが進むなか、アンドリーセンの宣言は、世論とのズレを感じさせる内容だ。テクノ・オプティミスト宣言は、「宣言」ではなく、テクノロジーを改めて礼賛することで、自身の利益をさらに拡大するための「宣伝」に過ぎないのかもしれない。
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