人類はAIに滅ぼされることになるのか? 専門家らから上がるAI脅威論
◆失職にとどまらないAIの脅威
AIが引き起こしかねない脅威として、具体的にどのようなシナリオが想定されるのだろうか。目下、最も現実的な懸念は、AIによる失職の危機だ。最近の生成AIブームのなか、影響を受ける仕事などについてさまざまな予測が出されている。
また、AIの不完全さも問題の一つだ。たとえばChatGPTは、いかにも真実のように感じられる不正確な内容の文章を、堂々と出力することで知られている。マスク氏は上述のテレビ番組で、航空機や自動車の設計においてAIが不正確な仕事をした場合の危険性を指摘している。死亡事故に至ったならば、結果としてはAIが人間を殺した事態とも捉えられるだろう。
より踏み込んだ見解として、AIが人類全体を抹消するとの未来予測も飛び出している。AI研究の第一人者であるエリエゼル・ユドコフスキー氏はタイム誌に寄せた論説(3月29日)で、「現状、もし誰かが過度に強力なAIを作ったならば、人類と地球上のすべての生命体はその後まもなくして一人残らず死ぬと私は考えている」との見解を示した。
◆開発停止が実現しないわけ
危険性が指摘されながら、AIの開発が止まらないのはなぜだろうか。ニューヨーク・ポスト氏によると元グーグルのガウダット氏は、たとえばグーグルとフェイスブック、アメリカと中国など、互いに相手の開発動向に負けられない事情があると分析する。
一方、AIの進歩に関しては、悲観的な見解ばかりではない。BBCは、難病で発声が難しくなったホーキング博士自身が、AIの合成音声により元の声に近い発話を可能としていたとも振り返る。ほか、AI開発者のなかには、AIが切り開くポジティブな未来に賭ける人々も多いという。
AIの急速な発展は、相反する希望と危機感を同時に生み出しているようだ。
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