米アマゾン、TikTok風フィードをアプリでテスト中
米アマゾンが、TikTokに執心しているようだ。高い人気を誇る同ソーシャルプラットフォームを真似た機能を導入することで、消費者の目を引こうともくろむ企業各社に続いた形である。
eコマース大手のアマゾンは同社のアプリで、TikTokのようにほかのユーザーが投稿した製品の画像や動画をスクロールして閲覧できるフィードのテストを実施中だ。
イスラエルに拠点を置く人工知能を扱う企業ウォッチフル・テクノロジーズによると「インスパイア」と呼ばれる機能を使えば、製品の投稿画像や動画をお気に入りに登録、保存、共有ができる上にフィードから直接商品を購入することもできる。
テストが行われているといっても、この機能が現在の形のまま一般向けに本格展開されるとは限らないし、そもそも導入自体がなくなるかもしれない。アマゾンで広報を担当するアリサ・ブロニコフスキー氏は、全ユーザー向けにインスパイアを導入する見込みについて、発言を控えている。アマゾンは声明のなかで「お客様の生活をもう少し楽にできるような新機能のテストを、絶えず行っています」と述べている。
今回のテストについて初めて報じたのはウォール・ストリート・ジャーナル紙だ。同紙は匿名の情報筋の話として、アマゾンは少数の従業員の間でインスパイアのテストを実施中だとも報じている。
アマゾンは新機能のテストをたびたび実施しており、そのターゲットを特定の地域に絞って行うこともある。今年初旬、調査会社のマーケットプレイス・パルスが明らかにしたところによると、アマゾンはプライベートブランドの運営に対し規制上の圧力がかかるなか、対象商品を「アマゾンブランド」や「アマゾン限定」といった表記でタグ付けし、検索結果でプライベートブランドを識別できるようにする方法を試していた。
ウォッチフル・テクノロジーズのダニエル・ブチュク研究員によると、テスト中のTikTok風フィードは、現段階ではおもに画像を表示する。しかし実際に導入されれば、アマゾンの出品業者らは顧客エンゲージメントを多く得られるコンテンツを作成しようとするはずで、動画重視のフィードになっていくだろうと推測している。
デジタル広告業界の二大巨頭であるグーグルとフェイスブックは、サービスへの注目度向上とそれにともなう収益の継続的な拡大を目指し、すでにTikTokを真似た独自の機能を押し出している。
グーグルの動画共有サービスのYouTubeでは、1分以下の動画に限定した「ショート動画」機能を開始。まずは2020年にインドでテストを実施した後、アメリカでも昨年導入した。グーグルによると、ログイン中にショート動画を閲覧したユーザー数は6月の時点で毎月15億人を超えている。しかしアナリストらは、TikTokのユーザー層に働きかけてもYouTubeの広告売上は低下するだろうとしている。
グーグルの直近の四半期決算ではYouTubeの広告売上の前年比成長率が低下し、同サイトの収益が開示されるようになって以降最も遅いペースとなったことが明らかとなっており、上記のような懸念が高まっている。
その一方でフェイスブックは現在、メタ・プラットフォームズの一部として稼働中のInstagramでTikTokを独自の形に落とし込んでいる。それが「リール」と呼ばれる短尺動画機能だ。マーク・ザッカーバーグCEOによると、ユーザーのインスタグラム利用時間の20%超をリールが占めている。
しかしメタは最近、10年前にフェイスブックが上場して以降初めて四半期収益が前年比で減少に転じたことを発表しており、エンゲージメントが広告売上の増加に繋がっているかは不明だ。
By HALELUYA HADERO AP Business Writer
Translated by t.sato via Conyac