イーサリアムのアップデート「マージ」で何が変わるのか
◆イーサリアムの「マージ」
イーサリアムはこれまで、よりエネルギー効率のよい方法への移行の準備を進めてきており、近々マージを完了させる予定であると発表している。マージの目的は、コンセンサスアルゴリズムを、PoWからプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)という方法に切り替えることだ。PoSを獲得するためのバリデーター(アルゴリズムの検証者)になるためには、少なくとも32イーサ(約750万円)のデポジットを預け入れる必要がある。より多くのデポジットをした方がその確率は高くなる。トロント大学の経済学者ジョシュア・ガンズは、PoSは「宝くじに賭けるようなものだ」とクオーツに説明している。PoWと違って、コンピューターが一度に大量の計算をする必要はなく、ステークの大きさがノード(端末)に比例しない。バリデーターは大規模なハードウェアを必要としないため、エネルギー消費が大幅に削減できる見込みだ。
イーサリアムは、2020年にPoSを使ったビーコン・チェーン(The Beacon Chain)というネットワークの運用を進めてきた。具体的な日付は明言されていないが、9月中旬ごろに、このビーコン・チェーンが、現状メインで使用されているPoWベースのネットワークであるイーサリアム・メインネットと統合(マージ)される予定だ。マージによってエネルギーの使用量が最大99.95%削減できるとイーサリアムは発表している。現状のPoWで消費される年間エネルギー総量が112TWh(テラ・ワット・アワー)と、オランダの年間エネルギー総量とほぼ同等である。これが0.01 TWhにまで削減できるとのことだ。
現在、すでにPoSを採用したブロックチェーンが存在しているが、マージ後はイーサリアムがPoSを採用する最大のブロックチェーン・ネットワークになるとされている。マージによって、今後より多くの投資家がイーサリアムに参加することへの期待も高まる。
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