「宇宙人からではない」2019年の謎の電波信号 追跡調査で判明
オーストラリアの電波望遠鏡が2019年、地球外生命の痕跡と思しきシグナルを捉えた。当時世間を賑わせた発見だが、このほど発表された追跡調査の結果によると、残念ながら地球上の電波の干渉だったようだ。
◆「発信源」は生命の可能性ある惑星付近
地球外の知的生命体の探査を目的とする「ブレイクスルー・リッスン」プロジェクトは、2015年以来、電波と光学を解析することで宇宙空間に存在し得るほかの文明の証を追い続けてきた。カリフォルニア大学バークレー校のSETIリサーチセンターが運営を行っている。同プロジェクトは2019年、初めて宇宙空間からの知的生命体によるシグナルと思しきデータをキャッチし、BLC1(ブレイクスルー・リッスン・候補1)と命名した。プロジェクトがこのほど公開した動画(10月26日)のなかで、博士研究員のソフィア・シャイフ氏は発見当時、「えっ! まさに私たちが探しているものみたいだね」と沸きたったと振り返る。
信号はオーストラリアのパークス天文台の電波望遠鏡が受信し、その送信元は地球からわずか4光年の距離にあるプロキシマ・ケンタウリだと推定された。科学誌ネイチャーによると、プロキシマ・ケンタウリは太陽と同じ赤色矮星であり、少なくとも2つの惑星をもつ。うち1つには液体の水が存在する可能性があるなど、生命発見の可能性のある星として研究者たちの関心を集めている。
問題のシグナルは982MHzの高周波帯の電波で、望遠鏡がこの方角を向いている間のみ受信された。このことから、地上で発信された電波が混入した可能性は低いと当時判断されている。また、982MHzは航空機で使用される周波数帯だが、信号は5時間ほど継続している。周辺区域に5時間も滞在した航空機を確認できなかったことで、地球上の航空機が発信源である可能性が排除された。
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