マスク非着用者に注意も 中国製ロボット「ロボポニー」、新型コロナのなか注文殺到

AP Photo / Mark Schiefelbein

 新型コロナウイルスによる感染症が拡大する中国において、多くの産業が苦闘している。リウ・ジヨン氏は、このような状況の下、自社のロボットに対する需要は急速に高まっていると話す。膝までの背丈で鮮やかな黄色が特徴的なロボットは、日用品の配送やショッピングモールを巡回し、マスクを着用していない買い物客を探し出すために購入されている。

 世界第2位を誇る中国経済を停滞に追い込んだコロナウイルスの流行拡大が収束したと、中国政府による勝利宣言が示された。数百万人もの起業家はその後徐々に仕事を再開させており、真機智能(ZhenRobotics)のCEOリウ氏もまたその一人である。

 真機知能の主力商品は、6輪駆動で高さ68センチメートルの「ロボポニー」である。自走式ワゴンとして、小売店や病院、ショッピングモール、共同住宅向けに販売されている。

 市場の回復に向けて長く先の見えない闘いに直面している航空、ホテル業界などとは異なり、リウ氏に寄せられる注文数は、感染症の流行が始まって以来3倍に増加したという。

「感染症の流行により、人間の脆弱さが表面化しました。ロボットはこの弱点を補い、人々からの信用を得るサービスを提供することが可能です。ロボットへの信頼は飛躍的に高まっています」とリウ氏は述べる。

 中国共産党は、製造工場や消費財産業におけるロボットの活用を、技術開発に関する最優先リストの上位に掲げている。

 ロボットは利益の見込める輸出品であり、人口高齢化に伴う労働力減少を補う手段であると、中国の指導者は考えている。

 中国政府は、ロボット工学を大学や研究機関に設置するために多額の投資を行ってきた。民間セクターの開発者は、研究助成金やその他の支援を申請することができる。

 2016年に設立された真機智能は、首都である北京市の中関村地区において研究、開発を行っている。同地区は学園都市であり、IT企業が集積する地域としても知られる。リウ氏は、政府からの家賃補助やその他公的支援を得ていると話す。

 さらに、同社に在籍する研究者は、機械学習やコンピュータービジョン、自律航法などの技術分野に携わっているという。

 真機智能は、中国南東部の上海市より南に位置する浙江省に試験センターを構える。また、製造拠点は、香港に隣接する深セン市にある。

 同社のロボット1台は、上海市のタイクーフイ・ショッピングモールを巡回する。マスクをしていない客の位置を特定し、着用を促す。さらに、除菌用ハンドジェルを配布し、ウイルス対策情報を配信する。

 ロボポニーは国内最大手の小売企業である蘇寧電器グループに導入され、感染症の流行が続く間、家庭への食料品や生活必需品の配送に利用されていた。

 2020年1月末、中国政府は多くの都市への移動を制限し、6,000万人がその影響を受けた。またほかの地域においても、何億人もの人々が可能な限り外出自粛を求められた。eコマースの需要の高まりはこのような状況を反映するものであった。

 北京市は、「感染症対策に資する新技術」についての公的リストに真機智能を掲載するなど、同社のマーケティングを後押ししている。

 ロボポニーは携帯電話のアプリを使って操作され、積載量は最大40キログラム、移動速度は最高で10キロメートル毎時である。リウ氏は、ロボットにかかる必要経費について言及することは避けた。

 1月の春節による休業を経て、リウ氏は1月26日に仕事に復帰した。ほかの従業員は1月30日以降、仕事を再開している。従業員50名中2名を除く全員が、3月10日までに職場に戻ってきたという。

「今後、紫外線による殺菌や衛生に関するその他機能についての研究にいっそう尽力したい」とリウ氏は語る。これから6週間以内に、90台のロボットを製造する予定だ。

「仕入先には、すでに多くの注文を入れています」と同氏は言う。

Translated by Mana Ishizuki

Text by AP