iPhone 11と11 Pro、どっちが買い? カメラの進化で広がる写真表現
◆格段に広がる写真表現
iPhone 11で最も進化したのは、背面カメラの構成だ。デュアル構成となり、シングルレンズだったXRよりも格段にリッチな写真表現が可能になった。焦点距離26ミリのワイドレンズは日常のスナップに最適だ。明るさはf1.8とXRから変化ないが、フォーカスが高速化されているため、暗所での撮影はこれまでの3分の1の時間で完了できる。光量不足のシーンでは、新搭載のナイトモードに自動的に移行する。薄暗い室内やキャンプの夜などにも鮮明な像を得ることができるのは嬉しい進歩。暗所では対抗のグーグル・ピクセルに一歩譲っていたiPhone だが、ここに来て弱点を克服した。
さらに、120度の視野角を持つ超ワイドレンズをもう一つの目として搭載し、雄大な風景などを余すところなく捉える。従来の4倍の領域を捉える超ワイドレンズは、風景写真だけでなく、被写体との距離が取れない狭い室内や車内などでも大いに活躍しそうだ。
2つのレンズはどちらも12メガピクセルと十分な解像度だ。両レンズはソフトウェアレベルで緊密に連携しており、まるで1本のズームレンズを操作しているかのような感覚でシームレスに切り替えることができる。たとえばビデオの撮影中、ワイドから超ワイドの画に滑らかに引いたり、任意のズームレベルで固定して撮影を続けたりといったことが可能だ。XRでは機械学習に頼っていた奥行き検出処理も、2つのレンズを搭載したことで正確性の面で有利になる。より自然な背景ボケを期待できると考えて良いだろう。
iPhone 11の国内販売価格は7万4800円(税別)から。9月13日午後9時から予約を受けつけ、販売は9月20日からとなっている。
◆上位プロモデルは?
では、上位のiPhone 11 Proはどのような構成だろうか? プロモデルの筐体カラーはシックなトーンでまとめられ、ミッドナイトグリーン、スペースグレイ、シルバー、ゴールドの4色を用意する。5.8インチの画面は基本モデルよりもひと回り小型だが、同社史上最高密度の解像度となっている。このため、基本モデルよりも高い画素数で高精細な映像を楽しむことができる。OLEDの採用で200万:1の高コントラスト比を実現しており、メリハリのある映像表現はビデオ再生などにも最適だ。
カメラについては52ミリのテレ(望遠)レンズが加わり、3レンズ構成となる。プロが一眼レフで撮影するような画角のうち、超望遠を除く主要なレンジをほぼカバーする形だ。同社のフィル・シラー上級副社長は「まったく新しいレベル、プロレベルの写真が可能になる」「本当に気に入るだろう」と自信を示している。価格は10万6800円からと、基本モデルよりも高価だ。より大型のスクリーンを希望する場合は、6.5インチ画面のiPhone 11 Pro Maxを視野に入れても良いだろう。
それでは、基本モデルとプロのどちらが「買い」だろうか? フォーブス誌に寄稿するガジェット評論家のアンソニー・カークズ氏は、高精細のディスプレイなどプロモデルの長所を認めたうえで、それでも300ドルの追加には見合わないと所感を述べている。どちらも同じA13バイオニック・プロセッサで駆動することなどから、使用体験が両モデルで大きく変わることはないだろうと判断し、基本モデルの購入を勧めている。
実際にプロモデルを手に取ったというテック・レーダー誌も、基本モデル優位との見方だ。カメラ機能の進歩は著しいが、トリプルカメラを除けば基本モデルと大きな差異がないことから、多くのユーザーはより低価格の基本モデルを選択するのではと予想している。昨年モデルでも廉価モデルのXRが好調だったことから、プロやハイアマチュアの写真家を除き、基本モデルを選択するユーザが大半を占める傾向となるだろう。
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