ウェブの父「我々の望んだ姿ではない」 現状を憂慮 誕生から30年
11日、バーナーズ=リー氏は記者団を前に、自分の研究がCERNの元上司であるマイク・センドール氏をどのように助けることになったかを回想した。センドール氏は研究のため、当時の新機種だったスティーブ・ジョブズ氏によるアップルのネクストコンピューターを購入する口実を必要としていた。
バーナーズ=リー氏は、センドール氏に「ネクストコンピューター上で、どれでもいいからプログラムを選んで開発してはどうか……。ハイパーテキストなどを手がけてみてはどうだろう?」とアドバイスを受けたという。
それ以来、バーナーズ=リー氏は、インターネットコミュニティにおいて一種の父親像となり、エリザベス2世からナイトの称号を受け、タイム誌によって20世紀で最も重要な100人の1人として選出されている。
バーナーズ=リー氏は今、ウェブの未来の議論を進めたいと考えているものの、他のパネリストたちは、インターネットの制御が限られた大企業に集中しつつあることに懸念を表し、互いに摩擦を抱えた国々の間でサイバー空間が分化しかねないことに苛立ちを隠せないでいる。
ノースカロライナ大学で図書館情報学を専門とするゼイネップ・タフェクシ准教授は、この会議でパネリストを務め、「ウェブを悩ませるさまざまな問題の根源は、同時に、ウェブを素晴らしいものにする根源でもある。だから解決が非常に難しい。オープンな場であることも、つながっていくことも素晴らしい。ウェブは、互いを信頼し合い、学術を究めようと志す人々のためのネットワークとして誕生した。それが事実だ……」と語る。
タフェクシ准教授は、「現在のウェブは、ごく少数の大企業がゲートキーパーとなり、途方もなく大規模な集中化が進行している。これらの限られた大企業は、基本的に監視装置を構築してしまった。我々に関するデータを収集し、我々を広告のターゲットにするために我々を監視している。これは当初ウェブが目指した構想とは全く異なっている」と述べている。
By JAMEY KEATEN, Associated Press
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