ウェブの父「我々の望んだ姿ではない」 現状を憂慮 誕生から30年

Fabrice Coffrini / Pool, Keystone via AP

 世界の半数の人々が利用するワールドワイドウェブ(WWW)は、誕生から30周年という成熟の時を迎えた。しかし、今ではヘイトスピーチ、プライバシーに関する懸念、そして国家が主導するハッキングなどの問題に次々と直面している。創設者はこの現状を憂慮し、人類にとってウェブをより良いものにするためにしようと広く呼びかけている。

 ティム・バーナーズ=リー氏は12日、ウェブ誕生30周年の記念式典に参加し、当時勤務していた欧州原子核研究機構(CERN)で1989年3月12日に公開された企画案から始まった自身の発明の思い出を語った。

 ウェブは、人々が商品を購入する方法を変革し、アイデアを共有し、情報を入手する以外にも、実に多方面への技術的革新の道を切り拓いた。その一方で、技術系の大手企業が個人データを抽出し、競争国の政府スパイが他国の選挙結果に不正な介入を試み、さらにはヘイトスピーチや辛辣な批評が横行する場にもなっている。この様相は、未来志向の希望にあふれた人々が一致団結を標榜してはじめた当初のウェブの根底からはかけ離れてしまっている。

 2018年後半の時点で、世界中の半数の人々がオンラインでつながっている。残りの半数の人々は、安全なアクセスを確立するために苦労していることも多い。

 「Web@30」と銘打ったCERNの記念講演に登壇したバーナーズ=リー氏によると、ウェブの利用者の多くが「なんということだ! 僕らはこんなウェブが欲しかったわけじゃない」という感覚を抱いているという。

Text by AP