ヴァージンの宇宙旅行船、「宇宙」に到達 商業旅行に一歩前進
ヴァージン・ギャラクティック社による宇宙船開発は、予想より大幅に遅れ、初めての実験機が2014年の試験飛行のとき分解してしまったという挫折も経験している。その事故の際には副操縦士が犠牲となった。
「私たちがこの日を迎えるまで、人々は文字通り命を賭けてきました。今日という日は、私たち全員にとってと同じくらい、彼らにとって大きな意味を持ちます」とブランソン氏は語っている。
600人以上の人々が、数分間の無重力体験と、はるか下に地球をのぞむ体験のために25万ドルもの金額を支払い搭乗することを約束している。宇宙船はまた、研究の目的にも使用されるだろう。NASAは試験飛行の際に科学実験を実行した。
この試みは2004年、スペースシップワンによる宇宙飛行の直後にブランソン氏がヴァージン・ギャラクティック社の創立を発表したときから始まった。スペースシップワンは、民間の財源によって初めて有人宇宙飛行を実現した宇宙船であり、これまで3回の宇宙飛行を行った。
スペースシップワンは億万長者の故ポール・ガードナー・アレン氏の出資を受け、型破りな航空宇宙デザイナー、バート・ルータン氏によって設計され、アンサリ・エックスプライズによる1,000万ドルの出資を勝ち取った。アンサリ・エックスプライズは一般客の宇宙旅行を可能にする民間宇宙船開発を進めるために創設された。
ブランソン氏がスペースシップワンの技術をライセンス化したとき、同氏は2007年までにニューメキシコ州南部にあるスペースポート・アメリカという施設から、一般客向けの宇宙船を打ち上げることを構想していた。しかし、大きな挫折があった。2007年には、3人の技術者が推進システムの試験を実施している最中に死亡した。事故はスペースシップワンを製造し、ヴァージン・ギャラクティック社のために最初のスペースシップツーを製造していた、スケールド・コンポジッツ合同会社で起こった。
2014年には、スペースシップツーがスケールド・コンポジッツ社によって実施された試験飛行中に分解した。事故は未熟な副操縦士が、独自の「フェザリング」ブレーキシステムをアンロックし使用し始めたときに起こった。副操縦士は死亡したが、パイロットは負傷しながらも空高くからパラシュートを使って降下し、生き延びた。
降下中、宇宙船の2つの尾翼は上向きに回転して速度を落とし、そして宇宙船が着陸するために滑空を始める前に、通常飛行の状態に戻るように設定されている。
スペースシップツーの新機種はヴァージン・ギャラクティック社の関連会社が製造し、飛行試験も社内で行っている。前回の試験飛行では32マイル(52km)地点にまで到達した。
宇宙観光ビジネスを狙っているのはブランソン氏だけではない。ジェフ・ベゾス氏のブルー・オリジン社は、旅行者を宇宙に連れて行くことを計画している。より伝統的な、発射台から飛び立つロケットの一番上にカプセルを積むという手法を用いている。スペースエックス社のイーロン・マスク氏は、日本の裕福な起業家である前澤友作氏と彼の友人たちを、月を周回する旅行に連れて行く計画を発表している。
By JOHN ANTCZAK, Associated Press
Translated by Y.Ishida
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