「可能性は無限」ドローンの活用法を模索する米の警察・消防機関

Peter Thomson / La Crosse Tribune via AP

 新たに実施された調査の結果、ドローンを日常的に活用している警察、消防機関が増えつつあり、もはやドローンは目新しい技術ではなくなっているということが判明した。

 ニューヨーク州バード大学(Bard College)のドローン研究センター(Center for the Study of Drone)が収集したデータによると、ドローンを使用している公安当局の数は、2016年末から倍以上に増加した。

 同センターによると、推定900超の警察、保安官事務所、消防機関、緊急事態管理局がドローンを使用しており、調査の結果、特にテキサス州、カリフォルニア州、ウィスコンシン州が積極的に導入を進めていることがわかった。

 警察のドローン部隊は、大半が発足して間もない。全国的にも、ごく少数の公安当局にしか設置されていない。しかし警察及び消防機関は、無人航空機の新たな活用法を模索し続けている。

 現在の無人航空機の用途は、自動車事故現場の写真撮影、炎上中の建物における消防隊員の誘導、行方不明者や殺人犯の捜索だ。

 一部では、パトロール車両に搭載されているラップトップや無線機、警察犬と同様に、無人航空機が警察の業務に変化をもたらすはずだと期待が寄せられている。

 フロリダ州のグレイディ・ジャッド保安官は、「無差別、大規模銃撃犯が潜んでいる今の世の中でも、学校の敷地内を隈なく見渡し、逃走する人がいれば必ず見つけ出せる」と言う。ジャッド氏は、昼夜を問わずポルク郡全域の治安を守るため、麻薬を押収して得た資金で、20機のドローンを購入した。

 ドローンを使用するのは緊急事態に限り、住民を監視するつもりはないと、ジャッド氏は強く主張する。フロリダ州を始めとする3分の1の州は、警察が犯罪捜査にドローンを使用する際に、事前に許可を申請するよう求めている。

 ジャッド氏によると、ドローンはヘリコプターを動員するよりも費用をかなり削減でき、対応までの時間も短縮できる。また、赤外線カメラを搭載しているものは、夜間でも容疑者の居場所を突き止められる。

「ヤシ林に容疑者が潜んでいて、銃を構えているが、その姿が全く見えないという状況も起こり得る」とジャッド氏は言う。「将来的には、すべての組織にドローン部隊が設置されるだろう」

 ドローン研究センターのダン・ゲティンガー共同センター長によると、ドローンを使用している公安当局は、ほとんどが1機しか所有していない。

 ゲッティンガー氏は、「現在導入中の当局は、テストケースだ」と言う。「ドローン導入プログラムの多くは、まだ始まったばかりだ」

 ドローン研究センターが実施した調査では、ドローンを所有している公安当局の数は、ヘリコプター及び航空機が配備されている当局の倍以上にのぼることが判明した。

 ウィスコンシン州スペリオル警察は、4月の製油所火災発生時に1機のドローンを飛ばし、濃煙の中で消防隊員を誘導するために役立てた。

 ドローン操縦士を務める警察官のブラッドリー・ジャゴ氏は、「消防隊員に協力するというのは、まったく想像していなかった。しかしドローンを導入してみて、その有用性を実感している」と言う。

 ドローンはその大半が、田舎地方の、比較的小さな組織で使用されている。有人飛行機は反対に、人口密集地の組織に配備されている。

 オハイオ州パットナム群は、大部分を農地が占める田舎地方だ。同郡の保安事務所では、農舎に押し入った2人組を捜索する時に、ある保安官補が自宅に所有していたドローンを持ちこんで以降、新たに1機を導入した。

 ブライアン・シーフカー保安官は、「ドローンを有効活用できる可能性を感じている」と言う。シーフカー氏によると、保安事務所ではドローンを導入して以降、事故の調査や、トウモロコシ畑におけるマリファナ栽培の捜査に活用している。「その可能性は無限だ」

By JOHN SEEWER, Associated Press
Translated by t.sato via Conyac

Text by AP