ピーナッツアレルギーの予防的治療、実験で成功 当局に承認申請へ

Patrick Sison / AP Photo

 重篤なピーナッツアレルギーの予防に役立つ初の治療法が実用化に向かう可能性がある。主要な研究で、子どもにピーナッツの粉末カプセルを毎日服用させると耐性強化に役立ったことが2月20日、ある会社から発表された。

 多くの子どもたちは、ピーナッツにアレルギーを持っている。たまたま口にしただけで命を脅かすほどの症状が出る子もいるようだ。医師は、子どもたちが少量のピーナッツに徐々に慣れることでアレルギーを抑える方法として、ピーナッツをカプセルに詰めたり、食事に散りばめたりすることで、毎日服用してもらう実験を行ってきた。

 米カリフォルニア州を拠点とするアイミューン・セラピューティクス社によると、この実験的な治療を行った子どもの67%は、実験終了時におよそ2粒のピーナッツに耐えられるようになった一方、プラセボ(偽薬)を服用した子どもの結果は4%だったという。

                                                                                                                 

 ここで大事な警告を1つ:この方法を自宅で試してはいけない。

 アーカンソー大学でアレルギーを専門としているステイシー・ジョーンズ医師は、「真似をすると危険なことになる可能性がある」と話している。「今回の実験は、研究段階。子どもに万一のことが起きた場合に迅速に対処できるよう、とても安全な環境で試さなくてはいけない」と述べた。

 ジョーンズ医師はこの研究で中心的な役割を果たし、同社顧問を務めている。調査結果は、来月のアレルギーカンファレンスで発表する予定だ。実験結果は、まだ独立的な立場の専門家による検証を受けていない。

 この研究は、アレルギーがひどく、ごく少量のピーナッツを口にしただけでも反応が現れる4~17歳までの子ども約500人を対象に実施された。6ヶ月間、ピーナッツかダミーの粉末が入ったカプセルを徐々に増量しながら子どもに与え、最後の分量を残り6ヶ月供与した。参加者も医師も、実験が終了するまで誰が何を服用したかは知らされなかった。

 ピーナッツの粉末を服用した子どもの約20%は研究から脱落し、12%は症状が出たなどの理由で中断された。ジョーンズ医師によると、このカプセル製品の実験結果は「概ね安全」だったと述べた。

 研究には関わっていないヴァンダービルト大学のステイシー・ドリス医師も、今回の結果を「喜ばしい成果」と評価している。

「深刻、重篤な反応を示すアレルギー症状を持つ子どもたちを守る手段になる可能性がある。しかし、これは治療剤ではない。服用を中止、中断した場合に何が起きるかは分からない」と述べた。

 ドリス医師は、ピーナッツアレルギーを持つ自身の8歳の娘にも試してみようと思ったが、研究で脱落した人の割合をみると、「万人向けのものではない」と感じた。人によってはあまりにも副作用が強く、毎日の服用を続けられなくなる。

 ダラスにあるテキサス大学南西医療センターのアレルギー専門家アンドリュー・バード医師も同社顧問をしており、患者をこの研究に参加させた。この治療法では子どもに対し、あたかも自分がアレルギーでないかのようにしてピーナッツを口にすることを認めていない。しかし研究によると、少なくとも1個のピーナッツに耐えられるなら、アレルギー反応のリスクを95%減らすことができる、とバード医師は述べた。

 そうだとすると、今回の研究対象となった10歳の息子チャーリー君の母でダラスに住むキャシー・ヘアルドさんにとっては朗報だろう。

 この母親は、「息子には小さいときから、口にするものは何かを確認するようにと教えなくてはいけませんでした」と話す。「彼はその状態を、檻の中にいて、何を食べるのかと他人に見られているようだったと話しています」

 彼女によるとチャーリー君は偽の粉末を与えられたグループに分類されたが、研究が終了してから、本物の粉末カプセルを手に入れたという。

 アイミューン社では、今年後半に米食品医薬品局(FDA)、来年初めに欧州の当局にこの治療法の承認を求めて申請をする計画だ。

 同社社長は治療代について、最初の半年が5,000~10,000ドル(54万~108万円)、以降は月300~400ドル(3.2万~4.3万円)になる予定だと述べた。

 ピーナッツアレルギーに対する考え方は、ここ数年の間で変化しており、専門家によると、幼少時からピーナッツに接するようにしていればアレルギーになりにくいと今では考えられている。米国立衛生研究所は昨年、新たな指針を発表した。それによると、乳児には生後6ヶ月の段階から水に溶かしたピーナッツバターやピーナッツのパフなど月齢に相応しい方法でピーナッツを含む食品を与えるのが望ましいとした。ただし、窒息の危険性があるため、丸ごと与えてはいけないという。

By MARILYNN MARCHIONE, AP Chief Medical Writer
Translated by Conyac

Text by AP

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