スポティファイ、アップルに挑戦? ハードウェア開発に関する求人の意味とは

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 音楽ストリーミング業界の最大手スポティファイは、このほど新しい求人を公開した。求人の内容からは、同社が新しいビジネス戦略を打ち出そうとしていることがうかがえる。その新戦略の背景を探ると、同社があのテック界の巨人としのぎを削っている現状が浮かび上がってくる。

◆3つの新たな求人
 音楽ビジネス情報サイト『Music ally』によると、スポティファイは3つの新しい求人を公開した。ひとつめの求人は「オペレーション・マネージャー」という役職である。この求人の説明の最初には「スポティファイは初めての有形の製品を作っている最中であり、その製品の製造、サプライチェーン、販売およびマーケティング体制を組織しようとしています」と書かれている。そして、この役職の業務は「製品の流通、供給、ロジスティクス、出荷、そしてカスタマーサポートを決定・管理し、パートナーといっしょにスポティファイの数百万のユーザに最上の体験を届けること」とされている。

                                                                                                                 

 そのほかの求人では「ハードウェア製品に関するシニア・プロジェクト・マネージャー」「ハードウェア製品とエンジニアリングに関するプロジェクト・マネージャー」という役職名が掲げられおり、その役職名から同社が何らかの製品に注力していることは明らかである。以上のような求人公開に関して、もしスポティファイ初の製品がスマートスピーカーだとしたら、多くのユーザがこの製品に飛びつくだろう、とMusic allyの記事は述べている。

◆昨年4月にも求人
 実のところ、スポティファイは昨年4月にもハードウェア製品に関する求人を公開したことをテック系ニュースサイト『The Verge』は報じている。そのときの求人には、同社は「(多機能型スマートウォッチの)ぺブル・ウォッチ、アマゾン・エコー、そしてスナップ・スペクタクル(スナップチャット運営会社によるスマートグラス)のようなカテゴリーを定義するような製品」を作りたい、と述べられていた。そして、開発したい製品の機能には音声による操作が含まれる、ともあった。

 The Vergeの記事は、昨年公開した求人で言及されたぺブル・ウォッチやスペクタクルのリリースが開発元のぺブルやスナップを独創的な企業として世に知らしめるきっかけとなったことを踏まえて、スポティファイもまたハードウェア製品をリリースすることで独創的な企業というイメージを作りたいのだろう、としている。

◆新製品開発はアップルへの対抗策?
 以上のようなスポティファイがハードウェア製品をリリースしようとしている動向について、英ガーディアン紙はその動向の背景を探った記事を掲載した。その記事は、スポティファイが音楽ストリーミングサービス最大手となった理由として、同社のサービスがアマゾン・エコーやPS4といった他社のハードウェア製品と連携することで普及したことを指摘する。そのうえで、2月9日にアメリカでリリースされたアップルが開発したスマートスピーカー「ホームポッド」やアップル・ウォッチは、同社のサービスを部分的にしかサポートしていないことに注目している。また同記事は、アップルが提供する音楽ストリーミングサービス「アップル・ミュージック」はスポティファイのライバルであるとも述べている。

 スポティファイの新製品開発に関しては、前出のMusic allyの記事では同社にはふたつの戦略的選択肢があると述べている。ひとつめの選択肢は、音声操作機能に関してアマゾンやグーグルとライセンス契約して使用するというもの。もうひとつは、音声操作機能を自社で開発する、という選択肢である。なお同記事では、自社開発の選択肢は時間と費用がかかるだろうと言っている。

Text by 吉本 幸記

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