iPhone 7/7 Plusのセールスに異変…「サムスンを見習え」と厳しい声も

 米コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ社(CIRP)が、今年第1四半期のiPhone 7/7 Plusのセールスに関するリサーチを公表した。調査結果からは、昨年9月に発売された同機種には目新しさがあまりないせいか、新機種としては以前のものより魅力が薄いという印象を受ける。海外メディアからは、iPhoneもそろそろ変わるときという声が出ている。

◆購入者は既存ユーザーばかり。アンドロイドからの乗り換え進まず
 この調査は全米の500人のアップルユーザーを対象にしたものだ。CIRPのプレスリリースによれば、今年1月から3月までのiPhoneセールスに占める7/7 Plusの割合は68%だった。フォーチュン誌によれば、1年前の同時期の最新機種6s/6s Plusの場合は70%以上で、これと比較すれば若干シェアは低くなった。一方旧機種のセールスは全体の3分の1を越え、2つの新機種を秋に発売するようになった2014年以来、最高となっている。

 7/7 Plusの購入者の15%は6s/6s Plusから、41%は6/6 Plusからのアップグレードで、10%がアンドロイド携帯からの乗り換えだった。CIRPのジョシュ・ローウィッツ氏はiPhoneユーザーの忠誠心は非常に高いが、逆を言えばアンドロイドからの乗り換えが少なくなるということだと指摘した。しかし、6s/6s Plusの場合は、アンドロイドからの乗り換えが26%もあったとしている。

◆いつもデザインが同じ。批評家は「サムスンを見習え」と喝!
 この調査結果を受けて、そろそろiPhone7の人気に陰りが見えてきたと考えるメディアも多い。フォーチュン誌は、7/7 Plusはプロセッサがパワフルになったものの、6s/6s Plusに比べデザインはマイナーアップグレードだったし、ヘッドフォンジャックも廃止されたと述べ、機種自体の魅力が薄かったことを示唆している。また、アップルはiPhone 7のセールスは好調だと述べているが、正確なセールスをまだ公表していないと指摘し、その成功には懐疑的だ。

 ウェブ誌『BGR』のジェイコブ・シーガル氏も、大きなデザインチェンジがないことが、iPhoneのセールスに影響しているのは明らかだと述べ、アンドロイドからの乗り換えが少ないのもそのせいだと見ている。同誌のザック・エプスタイン氏は、安物のiPhoneの模造品と思われていたサムスンのギャラクシーもS8とS8+で変貌を遂げ、ついにデザインではアップルを抜いたと主張。ギャラクシーには未来が感じられるのに、3年間同じデザインのiPhoneは過去で行き詰まっていると厳しい評価だ。

◆8には変化を。アップルへのプレッシャー高まる
 一方、ビジネス・テクノロジーサイトのコンピュータ・ワールドに寄稿したジョン・エバンズ氏は、CIRPの数字を見れば、アンドロイド・ユーザーのiPhoneへの好奇心が冷めたと取ることもできるが、iPhone10周年となる次の機種への期待が膨らんでいるというのが、むしろ7/7 Plusへの乗り換えが少ない理由ではないかと述べる。

 これまでの報道によれば、アップルは、2017年後半に発売予定と見られている新機種にワイヤレス充電機能を採用するという噂があり、実現すれば大きな魅力となりそうだ。BGR誌のシーガル氏は、アップルにとって、iPhone 8は重要な次のステップになると指摘する。そして消費者は何か新しいものがもたらされることを期待しており、これまでで最高のiPhoneを届けるというプレッシャーが、アップルにかかっていると述べている。

Text by 山川 真智子