「健康的な空気」は7ヶ国のみ 2023年世界大気汚染レポート

インド・ニューデリーのインド門(2023年11月)|PradeepGaurs / Shutterstock.com

 世界保健機関(WHO)が設定した微小粒子状物質PM2.5の基準値をクリアした国は7ヶ国だけという驚くべき結果が公表された。2023年の空気の良質な国、劣悪な国ははたしてどこか?

◆10ヶ国・地域がWHO基準をクリア
 スイスの空気清浄システム関連企業IQエア社が公表した2023年度版「大気質報告書」によると、2023年に安全な大気汚染レベルを満たしたのは、フィンランド、エストニア、プエルトリコ、オーストラリア、ニュージーランド、英領バミューダ、グレナダ、アイスランド、モーリシャス、フランス領ポリネシアの10ヶ国・地域のみだった。

 平均大気質を分析した134ヶ国・地域のうち、92.5%にあたる124ヶ国・地域がWHOのPM2.5の安全レベル(年間平均1立方メートル当たり5マイクログラム以下)を満たしていない。

 PM2.5は大気中に浮遊する極めて小さく危険な粒子で、吸い込むと肺の奥深くまで到達し、血液中に取り込まれる。発生源としては化石燃料の燃焼、砂嵐、森林火災などが挙げられ、ぜんそくや心臓病、呼吸器疾患、がんなどとの関連が指摘されている。

◆アジア、大気汚染深刻
 一方、基準値を大幅に超え大気汚染が深刻な国のうち、バングラデシュ、パキスタン、インドが最も空気が汚染されており、粒子汚染レベルはWHO基準の10倍以上だった。

 調査対象の世界7812都市のうち、WHOの基準を満たす大気の質を記録したのはわずか9%だった。世界で最も大気汚染がひどかった100都市のうち、アジアの都市が96都市を占め、インドが83都市を記録した。

 報告書によると、インド全土で13億人(人口の96%)がWHOのガイドラインの7倍以上の大気汚染の中で暮らしているという。

 中国の都市はかつて、世界最悪の大気汚染ランキングの上位を独占していたが、過去10年間の一連の大気浄化政策により、状況は好転した。昨年の調査では、この政策によって中国市民の平均寿命が2.2年延びたことがわかった。中国で最も汚染された都市、新疆ウイグル自治区ホータンは13位だった。

 インドネシア、ベトナム、タイはいずれも、WHOの基準を10倍以上上回る都市があった。

 日本は134ヶ国・地域中96位、都市では7812都市中、東京が3702位、大阪が2950位、京都が3562位、札幌が5888位となった。

Text by 中沢弘子