ブドウ畑周辺住民の農薬暴露問題、仏で調査進む
春夏は青々と葉を茂らせ、収穫後の秋は赤茶の葉を夕日に光らせる。フランスでよく目にするブドウ畑に囲まれた生活は、自然に恵まれ健康的なものと思われがちだ。だが、現実は正反対で、健康に悪い環境だということが、最近の研究で明らかになってきている。
◆ブドウ畑と農薬
農業のなかでも、ブドウの栽培は最も農薬を消費するものだ。フランス国内のブドウ園は80万ヘクタールと、全国農地の3%を占め、年間に散布される農薬5万トンのうち20%がブドウ園に撒かれている(ウェスト・フランス紙)。2019年には、1年でブドウの木1本につき平均18回農薬が散布されている。ブドウ園はほかの農地と異なり、住居のすぐそばに位置することも多く、近年は周辺住民への健康被害が取りざたされることも増えた。
そのため、2020年からは、住居から半径10メートル以内(条件によっては3メートルまで減らすことが可能)のブドウの木に農薬を使用することが禁じられている。だが、NGOのジェネラシオン・フュチュール(未来の世代)は2月に発表した調査報告書で、10メートルが十分な距離ではないことを示した。この調査では、ブドウ園から60メートル離れた場所でも、空気中にかなりの量の農薬が認められたからだ。
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