オゾン層40年以内に回復 破壊物質99%削減 国連報告書
4年前にもオゾン層回復の兆候は確認されていたが、ごくわずかで初期段階に過ぎなかった。それに対して今回は、同報告書の共同議長で米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターの科学者ポール・ニューマン氏が、「回復の数値はかなり固まってきている」と説明する。また、同氏によると、オゾン層の濃度が激減した部分にできるオゾンホールは過去数年間、南極の気象現象の影響によってやや大きくなったが、総体的に回復傾向にあるという。(同)
このまま規制が継続されれば、オゾン層は、南極では2066年ごろ、北極では2045年、ほかの地域では2040年までに、オゾンホールの生成前の1980年代の値まで回復する見通しがあると予測する。
◆オゾン層の回復は予断許さず
2016年には、代替フロンのハイドロフルオロカーボン(HFC)を新たな規制対象に追加した。この規制は、オゾン層の破壊に直接的に関連していないが、気象変動を引き起こす温室効果ガスの排出に影響を及ぼす。科学評価パネルは、この規制によって(HFC-23の排出寄与は含まない)、2100年までに気温上昇を0.3〜0.5度抑制できると予測している。
世界気象機関(WMO)のペッテリ・ターラス事務局長は、「オゾン対策が成功したことで、気象変動対策の道筋ができた。化石燃料からの転換、温室効果ガスの削減、さらに気温上昇の抑制において何が可能で何をすべきか、取り組みを示す形になった」と語る。
同科学評価パネルは今回初めて、成層圏へエアロゾルを人為的に放出し、太陽光を反射させて地球の表土を冷却させるSAI計画について言及し、南極のオゾン層を最大20%薄くする可能性があると警告した(AP)。今後、オゾン層の回復がこのまま進展していくかどうか、保証はされていない、と注意を促した(BBC、1/10)。
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