洪水の後は疫病、食糧難……二次三次被害に苦しむ国々 世界で異常気象頻発
◆パキスタンで広がるマラリアやデング熱、腸疾患
パキスタンでは今年6月以来のモンスーンの雨が、同国史上最悪の洪水を引き起こした。国土の3分の1が水没し、1700人の死者を出し、200万の家屋が破壊されており、10月の段階でキャンプ住まいを余儀なくされた国民は800万人を数える。(20minutes紙)
汚水に囲まれて生活せざるを得ないため、下痢、マラリア、腸チフス、デング熱などが急増し、マラリアに至っては、検査結果の半分は陽性という惨状だ。シンド州に限っても、2021年は1年で14万人だったマラリア感染者数が、今年はすでに20万8000人に上っている。マラリアは治療しなければ簡単に死に至る病で、パキスタンでは例年平均約5万人が犠牲となっている。(RTL 5minutes)
◆ナイジェリアで憂慮されるコレラ感染と飢饉
アフリカのナイジェリアでは、8月からの豪雨が10年ぶりの大洪水を引き起こしている。ナイジェリア当局の10月16日の発表によれば、603人が死亡、2400人が怪我、130万人が避難した。また、8万2000の家屋と、農地11万ヘクタールが完全に破壊された。(フランス・アンフォ、10/17)
ナイジェリアの雨季はまだ終わっておらず、降雨のリスクは今も進行形で続いている。同国気象庁は、特に南東部における新たな洪水のリスクは11月末まで続くと見ている。(ル・モンド紙、10/18)
国際救助委員会(IRC)は、このナイジェリアの洪水はコレラなどの病気の流行の原因になっていると警告する。同国北東にあるボルノ州の13自治体だけで、コレラと思しきケースが6000件以上確認されており、そのうち4~5%が死に至っている。
またナイジェリアでは食糧不安も増大している。この数ヶ月ですでに食料品は大きく値上がりしており、加えて洪水の被害によるコメの値上がりも避けられない。同国は国産のコメを奨励するためにコメの輸入を禁じているため、影響はなおのことだ。国連世界食糧計画(WFP)と食糧農業機関(FAO)が9月に発表した共同報告書によれば、ナイジェリアは飢餓の危険性が深刻な国の一つに数えられている。