カリフォルニア州、干ばつの影響で今夏も水・電力不足の危機

干ばつに見舞われた米カリフォルニア州フォルサム湖(2021年5月)|Josh Edelson / AP Photo

 アメリカ南西部・西部を襲う深刻な干ばつの影響で、カリフォルニア州では今夏も深刻な水と電力不足の恐れが高まっている。人口3951万人を抱え、全米3番目の規模を持つ同州は、2020年、21年と2年連続でシャワーやクーラーの利用を制限された厳しい夏を強いられた。今年も厳しい状況が予想されるなか、州政府や公益事業団体は「危機的な状況」を回避するため、矢継ぎ早に対策を打ち出したが、果たして3年連続の水・電力不足は免れるのだろうか?

◆過去1200年で史上最悪の干ばつ
 同州は2000年以降深刻な干ばつに見舞われており、科学者によれば、今年は過去1200年で史上最悪の干ばつが発生している。そのうえ、気温が年々上昇し、今年1月から3月までの気候は少なくとも過去100年で最も乾燥した冬になった。今冬は年間降雨量が最も多いこの時期に雨が降らず、同州の主要貯水池の水位は、本格的な夏を前に5月4週目の時点で平均水位の72%に留まっている(ロサンゼルス・タイムズ、5月26日)。3月のひと月の水の使用量は前年同月比約19%増加。電力量も今冬・春の異常気象の影響で夏前に上昇している。

◆6月1日より芝生への水やり禁止 違反者には罰金も
 ギャビン・ニューサム州知事は3月28日、各水道局に水不足緊急時対応策ステージ2の発動を要請し、節水対策の強化を求める行政令を発令した。また、「カリフォルニア州水資源管理委員会(California State Water Resources Control Board)」は5月24日、州知事の行政令に従って緊急干ばつ対策案を可決し、州内の商業・工業施設、大学や病院、政府官公庁などの公共施設において「非機能的な芝生(装飾使途)」への灌漑目的の飲用水の使用を6月10日より禁止した。同対策によって、年間15万6000〜26万エーカー・フィート(約0.19~0.32立方キロメートル)、78万世帯の年間の水使用量に相当する節水が可能になるという。

 AP通信によると、違反者は1日あたり500ドル(約6万7000円)の罰金が科せられる可能性がある。また、州の水道事業者436社に対して水供給量の最大20%削減を義務付け、顧客に対し使用制限を課す権限を与えた(ロサンゼルスKTLA、5月25日)。これによって、屋外の水まきから洗車、シャワーまで住民による水の使用がさらに厳しく制限される可能性が出てきた。

Text by 中沢弘子