大気中のCO2を回収して石に 世界最大プラントがアイスランドで稼働開始
◆アイスランドではCO2を地中に貯蔵
DACは稼働に必要なエネルギーがあればどこにでも設置できる。2021年9月には、現在稼働中19箇所のうち、世界最大のプラントがアイスランドにオープンした。8つの「コレクターコンテナ」で構成され、建設から稼働までの期間はたった15ヶ月以下で済んだ。オルカ(アイスランド語でエネルギーの意味)と名付けられたこのプラントは、同国最大の地熱発電所であるヘトリスヘイジ地熱発電所に隣接し、発電所のエネルギーを使っている。先のクライムワークス社がCO2回収能力を向上させ、これまで以上に多くのCO2を集めることに成功したのだ。年間4千トンのCO2を大気から吸収する。アイスランドの美しい景観に溶け込むことも重要なポイントで、木製パネルを使い、ナチュラルなテイストに仕上げた。
世界最大のプラントということで注目を集めているオルカだが、集めたCO2を地下水に混ぜて地中深くに埋め、数年で石化させるという新しい手法を初めて実用化したことでも高い評価を得ている。
◆DACでCO2 のオフセットができる
大気中のCO2はセメント工場からの排ガスなどに比べて希薄なため、ほかのCO2回収技術に比べ、より費用がかかる。しかし、気候変動対策の一つとして各地で普及していけば、太陽光発電と同様に、装置も回収したCO2の価格も必ず下がるとの見通しは強い。
いまや企業にとって、気候変動対策に取り組むことは死活問題だ。クライムワークス社のDACプラントは、企業がCO2をオフセットする(排出したCO2の分だけ、投資などを通して間接的に削減に貢献する)対象としても関心が集まっている。クライムワークス社に投資する企業は増えており、マイクロソフト、イギリスの多国籍メディア企業のエコノミスト・グループ、保険会社のスイス・リー、ECサイト(ネット取引を行うサイト)構築プラットフォームのショッピファイなど各界の著名企業が名を連ねている。