PM2.5対策、アンモニア削減が効果的 NASAはアフリカのアンモニア排出源を調査

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 PM2.5による大気汚染は人の健康にとって最大の環境リスク要因と世界的に言われている。発生源として、物の焼却や自動車などから発生するばい煙や粉じん、火力発電所や工場から出る硫黄酸化物や窒素酸化物などがよく挙げられるが、農業や自然界から排出されるアンモニアもPM2.5の重要な原因物質だ。人口増加に伴う世界的な農業規模の拡大で、大気中へのアンモニア排出量の増加が懸念されている。

◆肥料や焼畑からも 汚染物質アンモニア
 アンモニアは、土壌や植物の火災によって自然に排出されるが、ほとんどは肥料の使用や家畜の放牧などの農業活動を通じて大気中に放出されている。生態系に過剰に存在すれば、土壌を酸性にし、植物の成長を妨げる。また、大気汚染物質として、心臓や肺に関連する疾病を引き起こす。(NASAオンライン出版物アース・オブザバトリー

 2013年には窒素化合物による大気汚染のために世界で2330万年分の寿命が失われたとされるが、中国の科学者たちの研究によれば、PM2.5濃度へのアンモニアの寄与は、世界的に見てほとんどの国で窒素酸化物(NOx)よりも大きくなっている。排出削減コストを見ると、NOxよりアンモニアのほうが安価で効果的としており、アンモニアの排出による汚染に対処することで、より多くの命が救えるとしている。(サイエンス誌

Text by 山川 真智子