古着市場の拡大からみるサステナブルファッション

Matt York / AP Photo

「汚い」「貧乏」「ダサい」などのネガティブなイメージがあった古着市場だが、トレンドとしてファッション業界を変えている。若い世代を中心としたサステナブル志向の人が増えていること、ファストファッションなどが環境や論理面で問題視され始めたことも後押ししていると考えられる。米国のオンラインリサイクルショップ、スレッドアップが市場調査会社グローバルデータと調査を実施し、リセール(古着)市場についての報告書「リセールレポート 2021」を発表した。

◆リセール(古着)市場の可能性
 今回のレポートは、古着市場、その消費者、および今後10年間の成長に関する幅広い視点を提供する。古着市場の拡大を示す調査結果を出すことはスレッドアップの経済的利益につながることを念頭におく必要はあるが、古着市場に関するデータが一般的に不足していることを考慮すると今回のレポートからはさまざまなインサイトが得られる。

 レポートによると、リセール(古着)市場は今後5年間で倍増の770億ドル(約8兆5000億円)規模の市場に成長すると予測されている。そして2030年までには840億ドル(約9兆3000億円)規模にまで成長する見込みがある。それに対し、ザラ、H&M、フォーエバー21などに代表される低価格で大量生産・販売するファストファッションの市場規模は、その半分以下のおよそ400億ドル(約4兆4000億円)程度になると見込まれている。2020年の調査では、2億2300万人の消費者が中古品を購入した、または購入することに前向きであると回答した。この傾向は年々増加しており、古着の需要はまだ増え続けるとされる。スレッドアップの創設者兼CEOのジェームス・ラインハート氏は「汚染だらけの産業は、技術革新が消費者、企業、政府の関心と交わったときに変革する力を持っている。私たちはそれを電気自動車、太陽エネルギーで見た。次は循環型ファッションの番だ」と述べている。

Text by sayaka ishida