ヴィーガンが地球を救う?

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 環境問題の原因としてよく挙げられるのは、飛行機や車の利用による二酸化炭素の排出や、森林伐採、工場から排出される汚染物質などである。一見、環境問題とあまり関係なさそうに見える私たちの食生活だが、実は密に関係している。日本語では「完全菜食主義者」ともよばれる「ヴィーガン」は、卵や乳製品などを含む一切の動物性食品を食べない。肉や魚などの動物を食べない「ベジタリアン」よりも、さらにストイックなヴィーガンになる人は徐々に増えてきており、欧米では食志向の一つとして認識されている。調査によると、昨年イギリスでは、人口の20%が完全ヴィーガンのクリスマスディナーを作ることを計画していた。なぜそのヴィーガンが、いま地球環境問題の救世主として注目されているのだろうか。

◆環境保全重視ヴィーガン
「ベジタリアン」でさえも極端で過剰な欧米の考え方だと捉えられることが多いが、それよりも厳格な「ヴィーガン」は欧米では浸透していて、日本ではまだ馴染みが深くない。「ヴィーガン」と言っても、動機ごとに3種類に分けられる。まずはエシカル・ヴィーガンと呼ばれるアニマルライツ重視で動物を食べることを拒む人々。次にダイエタリー・ヴィーガンと呼ばれる健康を重視する人々。そして最後が、エンバイロメンタル・ヴィーガン、環境保全を重視する人々である。フェイクミート(植物肉)の代表格である「Beyond Meat(ビヨンドミート)」の創業者イーサン・ブラウンCEOも、環境保全を動機とするエンバイロメンタル・ヴィーガンだ。約10年間、再生可能エネルギー関連企業で働いていたブラウン氏だが、脱サラをして2009年にロザンセルスでビヨンドミートを創業した。

◆動物性食品が環境に与える影響
 あまり知られていないが、環境に影響を及ぼす原因のトップの一つに人間の食物があり、そのなかでも動物性食品が及ぼす影響は最悪と言われている。家畜自体から排出されるものもあれば、家畜を育てる上で発生する要因もあり、さまざまな団体や大学の研究結果により証明されている。

 まず、動物性食物はすべてかなりの環境負荷がある。ヴィーガンになることが、地球環境への影響を減らすための「唯一最大の方法」である可能性がある、と最近の研究が示唆している。2018年の英オックスフォード大学の研究で、食事から肉や乳製品をカットすることで、食品からの個人の二酸化炭素排出量を最大73%削減できることが報告された。119ヶ国、4万の農場を対象に行われたこの研究によると、家畜産業は人間が消費するカロリーの18%しか作り出さないが、それらは全農地の83%を使用している。

Text by sayaka ishida