キノコ、海藻が家具に 天然由来の素材に注目する家具メーカー

Gantri via AP

 サステナビリティへの関心が高まるなか、家具メーカーは、植物由来の素材をさらに取り入れようと取り組みを進めている。そのおかげで樹皮や葉、種子をつかった純植物性のレザー、布地、有機プラスチックといった素材があちこちで使われている。

 たとえば、今年初めにフランクフルトで開催された見本市「ハイムテキスタイル2020」でも、そのような素材が多数採用されていた。スイスのクエスション社は、バナナテックスと名付けた頑丈で耐水性に優れた生分解性の布地を発表したが、これはフィリピンに生育し、バナナに似たアバカという植物の繊維で作ったものだ。アバカ生地は、トートバッグや鞄に使用されている。

 ドイツのデザイナー、ニンケ・ホーフヴリート氏は、「シー・ミー(Sea Me)」と題したコレクションの一環として、海藻で作ったラグマットや椅子、テーブルを発表した。同氏はまた、ローズマリー、セージ、カモミールといったハーブを用いたオーガニックリネンの染色も行っている。

Nienke Hoogvliet via AP

 また、さまざまなデザインスタジオが、テーブルの天板をはじめとする家具の材料として、植物のデンプンと繊維を貼り合わせたバイオラミネート材の開発を進めている。

 東アフリカに生育するイチジク属のムトゥバと呼ばれる植物の樹皮は、綿のように柔らかい素材で、ウガンダの職人たちに世代を超えて使用されている。バーテックス社はサステナビリティに配慮した方法で、ムトゥバの樹皮を収穫し、レザーのようなしなやかな素材に加工している。この素材は、壁や家具の装飾に使うことができる。

 アフリカの企業ではほかにも、ケニアのグリーン・ネトゥル・テキスタイル社が、同社敷地内の急勾配に生育するイラクサを収穫している。イラクサはリネンに似た布地になるほか、干ばつに強いという特性があり、農業には不向きな土地で土壌の浸食を防ぐ役割を果たしている。

 ラトビア生まれのデザイナー、サーマイト・ポラコヴァ氏は、オランダのデザイン・アカデミー・アイントホーフェンで素材の研究をしていたが、木材の樹皮をそのまま用いてレザーのような素材を開発する取り組みを始めた。生きた木は使用せず、伐採された木材から樹皮を取る。細長く織った素材はパインスキンと呼ばれ、バスケットやマットを編むのに使われている。

「このプロジェクトは、樹皮の新たな使い道を提案するものです。裁断から長い時がたっても、木に別の命を与えられると思います」と、ポラコヴァ氏は言う。

 ロンドンのデザイナー、ナタリー・スペンサー氏は、ジュースバーや青果店で廃棄されたパイナップルの葉を集め、その柔らかい繊維を紡いでウールのような生地を作成している。

 メキシコでは、デザイナーのフェルナンド・ラポス氏が、トウモロコシとコムギを中心に、農業に関する研究と研修を行う非営利団体CIMMYT(国際トウモロコシ・コムギ改良センター)と提携。農業や酪農を営むミシュテカ族の村と協力し、トウモロコシやコムギのゴミを使った家具を作成している。トウモロコシの粒とさやからは、クリーム色、深紅、ピンク、黒、紫といった色が出る。

「このプロジェクトの目的は、私の母国が誇るトウモロコシの多様性を可視化することです」とラポス氏は言う。

 ラポス氏は、地元の女性たちと契約。トウモロコシのさやを用意し、ベニヤのような寄せ木材に裁断、成形してもらい、それをもとにテーブルや壁板、装飾品といった作品を作っている。さやは裁断する前に平たくのばし、裏側を製紙用パルプで補強しておく。

 トウモロコシの粒は、アメリカのフランシスコに拠点を置くガントリ社で、PLAと呼ばれる生分解可能な熱可塑性繊維に加工されている。PLAを使うことで、純植物性の頑丈なプラスチックを作ることができる。ガントリ社の創始者であるイアン・ヤン氏によると、PLAは半透明にも不透明にもなり、さまざまな使い道があるので、現在では壁や床、テーブルといった設備に使用されている。

 昨年秋にアイントホーフェンで行われたダッチ・デザイン・ウィークでは、セットデザイナーのパスカル・レブック氏が、クラウン・デザインというデザインスタジオとコラボレートし、木材と菌糸類の繊維、ガマでできたパビリオンを展示した。

 ロンドン南東部では、セバスチャン・コックス氏とデザイン研究家のニネラ・イヴァノヴァ氏が協力し、菌糸類やキノコの繊維でできた照明器具を作成した。この素材には木材繊維が混ぜ込まれており、質感良く仕上げられている。ロンドンでは、デザインスタジオのニル・メイリもまた、菌糸類と赤キャベツの葉を使用した素材を用いて、素朴でエレガントなランプシェードを作成している。

 テンセル社の寝具を手に入れれば、ユーカリの繊維でできた布地に寝ることができる。この素材は柔らかくてしわができにくい上、温度調節機能もあるため寝具に適しているのだ。

Pottery Barn Teen via AP

 そしてもう一つ、ヘンプも業界では人気の繊維だ。綿ほど柔らかくはないが、耐久性があり、ヘンプ繊維の製造に必要な水分量は、綿の約半分におさえられる。ヘンプはリネンのように、何度も洗うことで次第に柔らかくなる素材だ。ウエスト・エルム社は最近、ヘンプを用いた寝具コレクションを発表している。天然の植物性染料を使った優しい色合いの寝具だ。

By KIM COOK Associated Press
Translated by t.sato via Conyac

Text by AP

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