インドネシア、ごみを先進国に返送 有害物・プラスチックなど混入
インドネシアは、同国に届いた廃棄物のコンテナ数十個が、使用済みのおむつ、プラスチックその他の材料で汚染されていることが判明したことを受け、それらをそのまま先進国側に返送する予定だ。すでに東南アジアでは、先進国のゴミ捨て場のように扱われることへの反発が広がっており、今回の事件は、ますますこれに火を注いでいる。
インドネシアの関税総局は7月9日、シンガポールに近いバタム島の港に到着した49個のコンテナの中身が、危険・有害廃棄物の輸入に関するインドネシアの法律に違反していたとの検査結果を発表。それらはすべて、発送元のオーストラリア、アメリカ、フランス、ドイツ、香港に返送されるとコメントしている。
これとは別に、東ジャワ州のタンジュンペラック港で税関のトップを務めるバスキ・スリャント氏は、6月20日にオーストラリアから到着した総量210トンの8つの廃棄物コンテナについて、中身は「紙のみ」と申告されていたにもかかわらず、実際にはそれ以外のものも入っていたと指摘する。
「コンテナの中には、家庭ごみ、使用済みの缶、ペットボトル、使用済みオイルの容器、使用済みの電子機器、使用済みの乳幼児用おむつ、使用済みの履物が含まれていました。そのため我々は、発送元の国に送り戻す決定を下しました」とスリャント氏は語る。
2017年末に、中国政府はプラスチック廃棄物の輸入を禁止した。結果として、東南アジアの発展途上諸国に、それまで以上の廃棄物が送られる流れができている。
昨年6月に米科学誌Science Advancesに掲載された国連データに基づく研究によると、中国の輸入禁止措置を受け、それまで中国に廃棄物を輸出していた国々は、2030年までに1億1,000万トン以上に及ぶプラスチック廃棄物の新たな移送先を探す必要に迫られることが明らかになった。インドネシアと中国は、もともと世界最大のプラスチック廃棄物の排出国に数えられる。この両国では、プラスチック廃棄物によって国土と海洋、ビーチの汚染が深刻化している。
今回オーストラリアの廃棄物を東ジャワ州の港に輸入したインドネシア企業は、90日以内にオーストラリアに返送する義務を負うとスリャント氏は言う。ただし、それ以外の処罰は予定していないともつけ加えた。
インドネシア関税総局のスポークスマン、デニ・スルジャンティロ氏は、バタム島からの返送措置がとられる49個のコンテナは、同島の港で検査を受けた65個の一部であると語る。そのうち11個にはプラスチック廃棄物が詰まっており、ほかの38個は毒性その他の有害廃棄物で汚染されていたという。
スルジャンティロ氏によると、インドネシアの法律では、有害廃棄物の輸入は刑事犯罪にあたり、最長で12年の懲役と120億ルピア(約9,300万円)以下の罰金が課せられる。
この問題に関連して、フィリピン当局が今年5月、過去にカナダから届いたコンテナの中身が違法に送られた廃棄物だったと主張、69個のコンテナをカナダに返送し、大きな論争を巻き起こした。またマレーシアも同5月、リサイクル不可のプラスチック廃棄物、総量約3,000トンを、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどの国々に返送すると発表した。
フィリピン当局者によると、問題となったカナダの廃棄物は2013年から2014年にかけて103個のコンテナでフィリピンに輸送されたが、その際「リサイクル可能なプラスチック廃棄物」と虚偽の申告がなされていた。一部はすでに処分されたが、使用済みの電気製品や、使用済みのおむつを含めた家庭ゴミが入っていた69個のコンテナに関しては、フィリピンの2つの港で腐敗していたという。
Translated by Conyac