インドで「宮脇方式」の植樹が広がる 都市部の緑化に貢献

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◆多種混成がポイント 成長速度も速く
 宮脇方式は、従来の植林手法とどのように違うのだろうか? そのポイントは、植林時の綿密な計画にある。成長後の高さがバラエティに富むよう、複数の種類の木が選択される。また、成長後の葉の位置が互いに干渉しないよう、同じ種同士は距離をあけて植えられる。こうすることで、限られたスペースで多様な植生を養うことができる。ヒンドゥー紙によると、堆肥と赤土などを特定の順で層状に使うなど、宮脇メソッドではほかにもいくつかの手順を定めている。

 メリットは、苗木の成長速度の速さだ。ティルバナンタプラムのプロジェクトが行った先行試験でも、この効果は実際に確認された。プロジェクトに参画する州観光局のIT事業者は、3年の間に樹齢10年に相当する木を育むことができるとの予想を語っている(タイムズ・オブ・インディア)。酸素の放出量も通常の若木を上回ると見込む。

 インディアン・エクスプレス紙も成長速度の速さを強調する。樹齢100年相当の豊かな森を10年の間に育成できるのでは、とティルバナンタプラムのプロジェクト担当者は期待している。

◆環境に優しく…… 在来種の活用、化学肥料不使用
 現地の在来種をそのまま活用できることも宮脇方式の強みだ。カルナータカ州の高校生たちによる事例では、インドセンダンやムラサキフトモモなどを使用している(インディアン・エクスプレス)。様々な種類の植物を限られた学校の敷地内で栽培できることから、高校生たちの授業にも活用されているという。

 多様な植生はほかにもさまざまな利点をもたらす。各種の植物が幅広い深度にしっかりと根を張ることから、土壌流出や津波に対する備えとなる、とヒンドゥー紙は紹介している。

 こと都市部では、必要面積の小ささも大きなメリットだ。ヒンドゥー紙によると、600平方フィート(約56平方メートル、ファミリー向けマンション1室を下回る程度)の面積で、実に多くの種類の植物を育むことが可能だ。その様子はまるで小さな森のようだという。従来の植林法と比較すると、薬品や化学肥料などを使わなくて良いという利点もある。数年経てばメンテナンスが不要となるのも大きなメリットだ。

 限られた土地に豊かな「森」を育む宮脇方式が、海を渡ったインドの地で人々に愛されている。

Text by 青葉やまと