原発作業員 海外の反応まとめ

 世界中から、福島原発に係っている作業員の労働環境を危惧する声が挙がっている。

 福島で原発事故が発生してから約3年半が経とうとしている。現在までに、東京電力福島第一原発の作業員の待遇は、さまざまなメディアを通じて問題が指摘されてきた背景がある。

 国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)は、福島第一原発事故による放射線の影響は、今後増加する可能性は高くないとの見解を示している。

 しかし、海外メディアの多くは、福島原発事故に対応している作業員が直面している過酷な現実について告発した記事を取り上げており、日本政府並びに東電の対応に批判の声を投げかけている。

 さらに、ロイターは、福島第一原発で汚染水貯蔵タンクの組み立てなどを行う作業員の雇用実態にまで言及をし、今回の違法派遣の裏には日本のヤクザ・ギャングが関わっているとの報道もしており、真相は混迷を極めるばかりである。

 以下、昨今の主要な海外の反応をまとめる。

1)福島原発作業員、ヤクザが1,050人を「使い捨て」? 海外メディアの告発

 ロイターは昨年12月、福島第一原発で汚染水貯蔵タンクの組み立てなどを行う作業員の雇用実態を告発した。記事は、過酷な現場に最後まで残ったある作業員の、内部告発闘争記に近い趣を帯びている。

 英メール・オンラインは、こうした違法派遣にはヤクザ・ギャングが関わっており、債務者やホームレスを強制的に送り込んでは被曝するとすぐクビにしている、と報じた。

(海外メディアによる、福島原発作業員の劣悪な労働環境を批判する告発を取り上げた記事。政府による公式な見解もなく、真相は確かではないが、福島の事故に対する海外からの注目の高さがうかがい知れる記事である。)
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2)福島原発事故によるがん増加は「予想されない」 国連科学委の調査報告に海外も注目

 国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)は、福島第一原発事故による放射線の影響に関する報告書を発表した。報告書は、福島とチェルノブイリの違いを指摘し、被ばくによるがんの増加は予想されないと結論づけた。

 しかしUNSCEARは、「理論上、最も被ばく線量が多かった子供達のグループでは、甲状腺がんの危険がある」という指摘もしている。

『メディカル・デイリー』は記事の中で、被爆者だけでなく、原発作業員への健康状態にも触れ、発がん性のリスク増加が考えられるうえ、定期的な診断が必要であると語っている。

(海外メディアの多くは、今回の福島での事故とチェルノブイリでの事故の比較を通じて、大規模な災害には発展しないだろうとの見解を見せている。しかしながら、政府による公式の調査も未だ結論が出ていない状態であり、今後の福島での原発事故をめぐる調査は長く続くものとみられている。)
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3)作業員が汚染水浴びる事故も…福島の過酷な労働状況を米紙が告発 東電は「回答する立場にない」

 ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、福島第一原子力発電所の現場作業の実態を伝えるルポを掲載した。記事は、下請け、孫請けと何層にも複雑化している雇用形態や、素人同然ともいうべき作業員の質などを問題視し、東京電力や国の「無責任体質」を暴いている。

 東電は、作業員が直面するこれらの過酷な現実について、NYTの質問に対し、「回答する立場にない」と文書でそっけなく伝えてきたという。

(こうした実態を告発するNYTの報道を、中国人民日報傘下のグローバル・タイムズ紙や、シンガポールのトゥデイオンライン、ニュースサイト『Salon』などの世界中のメディアが大きく報じている。世界における福島原発の事故の関心度の高さがうかがい知れる。)
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Text by NewSphere 編集部